危険物倉庫に静電気は厳禁!静電気対策はしっかりと行いましょう!
投稿日:2020.01.15
更新日:2024.04.26
お役立ち情報
今回は、危険物倉庫などで注意したい、静電気対策についてご紹介したいと思います。空気が乾燥する季節である真冬は、静電気が起こりやすく誰もがドアノブを触った時などに『バチッ』と手に傷みが走った…などと言う経験があることでしょう。時には静電気が走る時に火花のような現象を目にすることもあるかと思いますが、実は静電気は危険物倉庫にとって細心の注意をはらっておかなければならない物なのです。
そこで今回は、危険物倉庫にとって静電気がどれほど危険なものなのかや、危険物倉庫で働く人が注意しておきたい静電気対策についてご紹介します。
危険物倉庫にとって静電気がどれだけ危険か?
危険物倉庫で働く方であれば、危険物を取り扱う際には静電気対策を入念にするように指導された経験があると思います。それでは、危険物にとって静電気がどれほど危険なのでしょうか?とても小さな現象ですし、「大した影響なんてないのではないか?」と考える人も多いかもしれません。
ここでは、静電気の簡単な仕組みと、危険物に『厳禁!』とされている理由についてご紹介しておきます。
静電気の基礎知識について
それではまず、静電気の基礎知識に関して簡単にご紹介しておきましょう。冬場になると、ドアノブやエレベーターのボタンに手を近づけただけでパチッと傷みが走る静電気ですが、多少の痛みさえ我慢すれば、日常生活には大きな悪影響はありません。そのため、日々の生活の中で、わざわざ静電気について調べて対策を行っている…と言う人は少ないかもしれません。
そもそも静電気というものは「物質内に帯電している静止した電荷のこと」を指しています。この電荷は、摩擦などによって徐々に帯電するもので、逃げ場がない限りは溜まり続けてしまうものです。そして、溜まりに溜まった電気が、何らかの原因で電流となり、「手に傷みが走った…」「火花が見えた…」といった現象が起こるのです。こう聞くと、帯電させなければ良いと考えるかもしれませんが、摩擦によって帯電してしまうものですので、帯電自体を防ぐのは不可能といって良いでしょう。例えば、作業のために動いているだけで衣服に摩擦は起こりますので、自然と静電気は溜まってしまうものです。そしてこの静電気は、人間に溜まるだけでなく危険物自体にも溜まっていきます。
静電気というものは、絶縁抵抗が大きいほど発生しやすいという性質を持っています。わかりやすい例をあげると、絶縁体であるゴムホースの中を石油製品が流れると、流動摩擦によって帯電が起こりやすくなってしまうのです。また、危険物倉庫などで取り扱われる石油製品などは、電気絶縁性が大きいため、余計に帯電しやすいという特徴まであるので注意が必要です。
静電気は火災の原因となる
それでは次に、危険物に対して静電気がなぜ危険なのか?ということについて簡単にご紹介しておきます。結論からご紹介しますが、危険物倉庫などで静電気が厳禁とされる理由は、静電気が火災の原因となってしまう可能性があるからです。
上述しているように、静電気が帯電してしまい、それに流れが起きて電流となる場合には、『火花』が散ることがあるのです。皆さんも、暗い室内で静電気が走った時に、ピカッと光って見えた…という経験はあるのではないでしょうか。つまり、危険物倉庫でこの火花放電が発生した場合、近くにある危険物に引火してしまい火災が発生してしまう可能性が出てきてしまうのです。特に、第一・第二石油類などの危険物であれば、引火点が低いため、静電気の火花程度でも火災が発生してしまう可能性が高いのです。
ちなみに、危険物取扱者の資格を取る場合の試験でも、この静電気を予防するための方法などが問題として出題されることもあります。この事実からも、危険物倉庫にとって静電気はとても危険なのだということがわかります。
危険物倉庫の静電気対策について
それではここからは、危険物倉庫における、静電気対策についてご紹介していきます。上述したように、静電気はプラスチックやゴムのような絶縁体に帯電しやすいという性質を持っています。したがって、ゴムホースの中をガソリンなどの石油製品が流れるような場合には、流動による摩擦で危険物自体に静電気が溜まってしまいます。そして、人体にも静電気は溜まりますので、帯電した状態の人が帯電した危険物に触ってしまうと、火花放電が起きてしまい火災事故に発展してしまう危険があるのです。
特に、気温と湿度が低くなる冬場などは、静電気が帯電しやすくなっているので、発火事故が発生する可能性も高くなり注意が必要です。したがって、危険物倉庫などでは以下のような静電気対策が必須となるでしょう。
静電気対策を考える場合、危険物に帯電した静電気を逃がすことが大切となります。帯電した静電気を逃がすためには、アースを付けるという対策が必要になります。アースを取り付けることで、帯電した静電気を地面に逃がすことが出来ます。なお、アースが無い場合には、放電しやすいものを帯電したものに接触させることで帯電した電気を逃がすことが出来ます。
静電気は冬場に起こりやすいものというのは誰もが知っていますね。これは乾燥して湿度が低い状況に静電気が発生しやすいという性質があるからです。したがって、室内の湿度や温度を上げることも静電気対策となります。また、施設内で利用するプラスチックやゴムなどの絶縁体には、金属やカーボンを使った帯電防止剤を入れるのも、静電気対策として非常に有効です。他には、従業員の制服などは、静電気が発生しやすい化学繊維を使わないなども有効です。
ガソリンなど引火性液体を流動させるときには、その速度に注意しましょう。静電気は、早い速度で流動させるほど発生しやすくなってしまうため、給油速度などの管理も重要となります。ガソリンを始めとした引火性液体の給油速度は決められていますので、遵守しましょう。
まとめ
今回は、危険物倉庫の火災の原因となりうる静電気について、その基礎知識と対策をご紹介しました。静電気については、冬場になると誰もが日常生活で体験する現象ですので、とても身近な現象というイメージを持ってしまい、その危険性を軽視してしまう人が少なくないのではないでしょうか。しかし、本稿でご紹介したように、引火しやすい物質を保管している危険物倉庫では、小さな静電気でもとても危険な存在となるのです。
静電気は、冬場になると必ず発生するものですので、火災事故などを発生させないように従業員などにその危険性を十分に教育するようにしましょう。
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