GDPとは?GDP対応により倉庫に求められるものとは
投稿日:2021.01.28 
更新日:2021.01.30 
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												2018年12月に、厚生労働省より「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて」として、日本国内でも正式にGDPガイドラインが発出されました。厚生労働省より出された「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」は、PIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム)のGDPに準拠し、日本の法令を反映したもので国際調和が図られていると言われています。
GDPは、製造工場で作られた医薬品が出荷された後、それを使用する患者さんの手元に届くまでの流通過程において、医薬品の品質保証を目的にした基本的な指針で、厚生労働省による「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」では、品質管理や流通経路の管理などの手法が定められています。
この記事では、「そもそもGDPとは何なのか?」といった基礎知識や、医薬品の流通経路の中で非常に重要な役割を担う倉庫に求められるGDP対応についてご紹介します。
GDP(医薬品の適正流通基準)の基礎知識
それではまず、「そもそもGDPとは?」という基礎知識についてご紹介しておきます。冒頭でご紹介したように、GDPは、製造工場を出荷された後の医薬品について、患者さんの手元に届くまでの流通過程における品質保証を目的とした指針です。
医薬品の品質は、人の命に係わる非常に重要なものですので、製造過程では非常に厳重な規則のもと、徹底した管理が求められています。しかし、「患者さんの手元に医薬品が届くまで…」と考えた場合、医薬品の品質は製造工程だけに依存するものではありません。医薬品の品質は、製造工程以外にも、保管・流通・販売など、全ての場面において品質管理が必要になります。
例えば、医薬品を保管する場合には、それぞれに保管時の適正な温度管理が必要とされていますし、当然、異物の混入などがあってはいけません。そこで、こういった医薬品の適正な流通基準として定められたのが『GDP(Good Distribution Practice)』です。
なお、2018年12月に厚生労働省により発表された日本版「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」の目的は、以下のように説明されています。
本ガイドラインは、卸売販売業者等がそれぞれのニーズに合わせた規則を作るための根拠としても利用することを意図している。
引用:医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン
物流会社に求められるGDP対応とは
日本版「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」では、医薬品の出荷後、病院・薬局に配送し納品されるまでの流通経路が適用範囲とされています。当然、同じ医薬品だとしても、さまざまな流通経路、流通形態が存在するのですが、業務としては『保管』と『輸送』に分類されて、そこでの温度管理手法がガイドラインで示されています。
ここでは、『保管』と『輸送』において、どのような温度管理が求められているのかについて「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」の中からピックアップしておきます。
『保管』
保管時の温度管理などに関しては、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」の第3章『施設及び機器』部分に記載されています。この部分のポイントは以下のようになっています。
- 施設は清潔で乾燥し、許容可能な温度範囲に維持すること
 - 医薬品を保管する環境を管理するための適切な手順を定め、必要な機器を設置すること
 - 保管場所の使用前に、適切な条件下で温度マッピングを実施すること
 - 温度モニタリング機器(例えばデータロガー)は、温度マッピングの結果に従って適切な場所に設置すること
 - リスク評価の結果に依って、若しくは設備又は温度制御装置に大きな変更が行われた場合には、温度マッピングを再度実施すること
 - 数平方メートル程度の小規模な施設の室温については、潜在的リスク(例えば、ヒーターやエアコン)の評価を実施し、その結果に応じて温度センサーを設置すること
 - 医薬品の保管及び流通に影響を及ぼす全ての機器は、それぞれの目的に応じた基準で設計、設置、保守及び洗浄を行うこと
 - 保管条件からの逸脱が発生した際に警告を発する適切な警報システムを備えること
 - コンピュータ化システムの使用を開始する前に、適切なバリデーション又はベリフィケーションにより、当該システムによって正確に、一貫性及び再現性をもって、求められる結果が得られることを示すこと
 
『輸送』
次は『輸送』についての部分です。輸送に関する温度管理に関しては第9章に記載されています。こちらも、一部をピックアップしておきます。
- 医薬品を破損、品質劣化及び盗難から保護し、輸送中の温度条件を許容可能な範囲に維持することは卸売販売業者等の責任である
 - 外装又は包装に記載された保管条件が輸送中も維持されていること
 - 温度逸脱に関する調査や取扱いに関する手順も定めること
 - どこで温度管理が必要とされるかを決めるために、輸送ルートのリスクアセスメントを用いること
 - 輸送中の車両及び/又は容器内の温度モニタリングに使用する機器は、定期的に保守及び校正すること
 - 医薬品を取り扱う際には、可能な限り、専用車両及び機器を使用すること
 - 温度制御装置付きの車両を使用する場合、輸送中に使用する温度モニタリング機器を、定期的に保守及び校正すること。代表的な条件下で温度マッピングを実施し、必要であれば、季節変動要因も考慮すること
 - 温度変化に対して感受性が高い製品の輸送及び季節ごとの温度変動を管理するプロセスを手順書に記述すること
 
まとめ
今回は、2018年12月に厚生労働省が発出した、日本版「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」についてご紹介してきました。
日本国内では、まだまだ普及段階といえるものですが、EUではGDPが法的規制となっています。今後日本国内でも、GDPへの対応強化が進められると予想できますので、「規制や負担が増える…」と考えるのではなく、新たなビジネスチャンスと考えて自社のGDP対応を進めていくのが良いのではないでしょうか。
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