営業倉庫とは?自家用倉庫との違いと倉庫業法について解説
投稿日:2021.09.15
更新日:2022.12.22
お役立ち情報
EC市場が年々拡大する中、注文のあった商品を素早く顧客の元に届けるためには『倉庫』の存在が非常に重要になってきています。倉庫と聞くと、一般家庭などでは、すぐに使用する予定のない物品を一時的に片付けておく場所というイメージですが、顧客から商品を一時的に預かって金品を受けとると言った倉庫業を営むといった場合、顧客の大切な商品を安全に保管できるようにしておかなければいけません。
この記事では、営業倉庫の運営には必須である、倉庫業法の基礎知識と、営業倉庫がどういったものなのかについて簡単に解説します。
Contents
営業倉庫とは
営業倉庫とは第三者からの荷物を預かり、物流業務を行うための営業目的で所有する倉庫を指します。
第三者の物を預かる業務になり、商品所有者の利益を守る必要があるため、国土交通省が定める「倉庫業法」のルールに従って運用することが求められます。
倉庫業法と呼ばれる法律に基づいて、国土交通省に届出を行い、認定されなければならないという決まりがあります。ちなみに、所有者自身の物品を一時的に保管するための倉庫は『自家用倉庫』と呼ばれるのですが、営業倉庫は自家用倉庫と異なり、厳格な条件をクリアしなければ運用できないとされています。
倉庫業法で定められている営業倉庫のルールとは
倉庫業を営むためには、その業務について定められた倉庫業法については絶対に知っておかなければならないでしょう。また、EC事業者など、荷物を預ける荷主企業側に関しても、大切な商品の安全性を確保するためには、倉庫業法がどういった趣旨で作られているのかをきちんと押さえておくことがオススメです。
倉庫業法は、日常生活の中ではほとんど意識するようなことはありませんが、以下のような目的が示されています。
(目的)
第一条 この法律は、倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉荷証券の円滑な流通を確保することを目的とする。
引用:e-Gov「倉庫業法」
上述したように、倉庫にも、所有者自身の荷物を保管するための「自家用倉庫」と、第三者の荷物を保管するための「営業倉庫」の2種類が存在します。そして、営業倉庫というものは、第三者からの荷物を預かるための倉庫として運用されます。
倉庫業法は、営業倉庫の運営を行う倉庫業者に対して、その営業を行う上で守るべきルールや基準を設けることで、荷主側の利益を守り、トラブルを抑制するということが目的の法律です。
営業倉庫として倉庫業を開始する場合、必ず届出を行わなければならないとされており、未登録の場合は法律違反とみなされてしまいます。また、認定を受けていない倉庫は、火災が起こった場合でも保険が適応されず、被害を補償してもらえないなどの、倉庫利用者側にも大きなリスクが生じてしまいます。
営業倉庫と自家用倉庫の違いについて
営業倉庫は、自家用倉庫と異なり、法律で定められた厳格な条件をクリアしなければ運用することができません。営業倉庫と自家用倉庫の大まかな違いは以下です。
- 営業倉庫とは
第三者からの荷物を預かり、物流業務などを行うために営業目的で所有する倉庫です。営業倉庫として運用する場合には、法律に基づいて国土交通省に届出を行い、認定されなければいけません。 - 自家倉庫とは
所有者自身の荷物を保管するための倉庫です。自社工場で生産した製品を一時的に保管しておく、販売用の拠点として商品を保管しておく目的で利用されます。
営業倉庫は「第三者の荷物を預かる」という性質上、厳格なルールが設けられています。例えば、届出を行うにしても、施設や設備が倉庫業法で定められている基準に適合していなければならず、耐震性や耐火性を始めとして、水濡れや火災への対策が施されている必要があるとされています。また、顧客のリスク低減のために、火災保険への加入が必須とされており、保険の加入に係る保険料は倉庫業者が負担しなければいけません。
この他にも、「管理責任者が定められている」「倉庫寄託約款を定めている」など、厳しい基準が設けられています。
倉庫業法の対象と罰則について
倉庫業法の対象となるのは、「既に営業倉庫として登録済みの倉庫業者」「これから営業倉庫を運用しようと考えている方」「トランクルームなど、倉庫業に近い業態を営む予定の方」です。
既に届出を済ませて、営業倉庫の運営を行っている場合は、倉庫の運営を行う限り、倉庫業法を守らなければいけません。また、今後営業倉庫の運営を検討しているのであれば、倉庫業法で定められた施設基準を備えて届出を行う必要があります。もちろん、開業後は倉庫業法の遵守の対象となります。なお、注意が必要なのは、トランクルームなどのような貸倉庫業も、倉庫業法の規制対象に入るという点です。
倉庫業法に違反した場合は、さまざまな罰則が規定されています。例えば、国土交通省からの登録を受けていない状態で営業倉庫を営んだり、自分のものではない倉庫を名義を借りた状態で事業に利用したりした場合、『1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、あるいはその両方』という罰則が科せられます。
他にも、倉庫寄託約款の変更命令に違反したという場合や倉庫管理主任者の選定をしていないという場合には『50万円以下の罰金』など、違反の内容によって罰則が用意されています。
荷物を預ける倉庫を選ぶときのポイント
ここまでは、倉庫業法の基礎知識として、営業倉庫がどういったものなのかについて解説してきました。倉庫業を営む方であれば、倉庫業法に関する知識が必要なのは間違いないのですが、実は荷主企業の方にとっても、倉庫業法の知識を持っておくことは大きなメリットになると考えられます。
というのも、倉庫業法がどういったもので、営業倉庫がどれだけ厳しいルールを設けられているのかがわかれば、荷物を預ける倉庫を選ぶときに「国土交通省の認定を受けている営業倉庫か?」がポイントになるということが理解できるからです。ここまでの説明で分かるように、国土交通省の認可を受けている営業倉庫は、次のように、安全に荷物を保管してもらうことができると期待できます。
- 「倉庫業を営むための倉庫」として建築確認を受けている
- 倉庫の施設や設備が、一定の基準に適合している
- 倉庫管理主任者が選任されている
- 倉庫寄託約款を定められている
- 火災保険に加入している
しかし、無許可で営業している倉庫の場合、耐震基準や耐火基準を満たしていない上に、火災保険などにも未加入の可能性が高く、災害などで荷物に甚大な被害が生じたとしても、何の補償も受けられないといった事態も起こりえます。
もちろん、自社が希望しているサービスに対応できる倉庫なのかも大切なことですが、「安全に荷物を預けられる倉庫なのか?」は大前提です。これを見極めるためのポイントとなるのが、倉庫業法に基づいた届出と認可だと考えられます。
まとめ
今回は、倉庫業法の基礎知識や営業倉庫の定義などについて簡単にご紹介してきました。倉庫業法に関しては、営業倉庫を営んでいる、またはこれから営業倉庫を運用しようと考えているなどと言った方にとって重要な法律で、日常生活を進める上では倉庫業法が密接に関係してくるといった事はありません。
しかし、倉庫業法は、営業倉庫を営む方はもちろん、荷主企業にとっても重要な法律ですので、しっかりと理解しておきましょう。
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