危険物倉庫に求められる「防爆構造」とは?
投稿日:2022.06.21
更新日:2024.03.21
お役立ち情報
危険物倉庫で保管するのは、消防法によって定められている危険物で、日本における危険物とは『通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質』を指しています。例えば、私たちの日常生活でも非常に身近な石油製品であるガソリンなども、取り扱いを一つ間違っただけで大きな火災を引き起こしてしまう危険が潜んでいます。最近では、セルフのガソリンスタンドが一般的となっていますが、給油の前に「必ず静電気除去シートに触れるように!」と言う注意書きがあるなど、静電気による小さな火花が火災の原因になってしまうなど、取り扱いに細心の注意が必要な物品です。
そして、こういった危険物を大量に保管する施設が危険物倉庫と呼ばれており、危険物倉庫に導入する設備は、一般的な倉庫とは注意すべきポイントが大きく変わります。この記事では、危険物倉庫に求められる防爆構造についての基礎知識をご紹介します。
危険物倉庫は『防爆構造』
冒頭でご紹介したように、危険物倉庫は『通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある』危険物を大量に保管するための施設となります。したがって、危険物倉庫では、爆発・火災を防止するために『防爆』という考えが非常に重要になります。
危険物倉庫における爆発や火災は、可燃物が着火源によって着火することにより発生します。そして着火源には、火炎、機械的摩擦、衝撃、高温表面、電気火花、電磁波などさまざまなモノがあり、可燃物も固体(粉じん)、液体(蒸気)、気体(ガス)などさまざまな形態のモノがあります。なお、爆発・火災は、いずれにせよ『可燃物』と『着火源』が共存する時に発生するものです。
『可燃物』+『着火源』=爆発・火災
※いずれか一方では、爆発・火災は発生しない
こういったことから、危険物倉庫において爆発・火災を防止するためには、以下のいずれかに対応することが重要になります。
- 着火源(電気設備など)と可燃物の共存を避ける
- 着火源(電気設備など)が着火作用(能力)を有しないようにする
- 可燃物の可燃特性を消滅させる(可燃物の濃度を爆発下限界以下にするなど)
ただ、大量の危険物を取り扱う危険物倉庫などは、業務上、可燃性ガス・引火性液体を常時取り扱う場所であるという特性上、さまざまな着火源との共存を完全に避けるようにするということは、一般的には非現実的であるとされます。危険物倉庫などは、室温を一定に保たなければならない施設がほとんどですし、電気設備などの着火源を全て排除するような選択は現実的にはできません。
なお、工場や事業所などで可燃性ガス・蒸気を取り扱う際は、できる限り大気中に放出・漏洩しないような設備設計を行い、運転・作業を行うのが基本となります。たた、石油類の給油などを行う時には、可燃性ガス・蒸気が大気中に放出されたり漏洩することは避けられず、これを皆無にすることは技術的に困難となります。
そのため、万一、可燃性ガス・蒸気について、大気中への放出・漏洩が生じた時でも、爆発下限界以下に保つよう十分な通風・換気を図るとともに、着火源対策として防爆電気設備が採用されます。
可燃物の着火源とならないように、さまざまな手法・アプローチにより、爆発を防止する技術的な対策が施された電気設備のこと
危険場所について
危険物倉庫などは、操作中または作業中に可燃性ガス・蒸気が大気中に放出・漏洩すると、空気と混合して『爆発性雰囲気』を形成します。そして、この爆発性雰囲気が無視できないほど多く、電気設備などが発火源となり、爆発事故が起きうる可能性がある場所を『危険場所』と呼びます。この危険場所では、防爆電気機器の設置が義務付けられています。
危険場所の分類
危険場所は、可燃性ガス・蒸気の放出・漏洩の頻度や爆発性雰囲気の存在時間によって以下の3つに分類されています。
- 特別危険箇所(0種場所、Zone0)
通常の状態において、爆発性雰囲気が、連続して存在するか、または長時間存在する場所 - 第一類危険箇所(1種場所、Zone1)
通常の状態において、爆発性雰囲気が生成することがある場所 - 第二類危険箇所(2種場所、Zone2)
通常の状態において、爆発性雰囲気を生成するおそれが少ない、または生成した場合でも短時間しか存在しない場所
危険場所は上記のような分類があり、危険物の製造もしくは貯蔵保管する場所は、消防法にて1種場所もしくは、2種場所と規定され、安全性を確保する構造が求められます。特に貯蔵が主となる危険物倉庫に関しては2種場所としての、防爆の対策などが施された設備の設置が義務付けられています。
危険物倉庫建設のコンサルタントの役割についてはこちら
まとめ
今回は、危険物倉庫に求められる防爆構造の基礎知識をご紹介してきました。危険物倉庫は、消防法に定められた危険物を保管するための施設ですので、建物そのものの構造にさまざまな条件が設けられているのは皆さんもご存知だと思います。例えば「屋根の素材には軽量金属板などの不燃材料を使用する」「壁や柱、床が耐火構造になっていること」「網入りガラスの窓になっていること」など、建物の細かな部分まで安全性を高めるための条件が設けられています。
危険物倉庫の建設や防爆工事をお考えの方はまずは、お電話またはフォームよりお問い合わせください。
関連記事
ARCHIVE
TAG
- #建設準備
- #グラフ
- #建築費
- #ドライバー不足
- #立地
- #2024年問題
- #3PL
- #3温度帯
- #4温度帯
- #AGV
- #AI
- #AVG
- #CAS冷凍
- #EC
- #FSSC22000
- #GDPガイドライン
- #IoT
- #IT
- #LED
- #RiSOKOセミナー
- #Society 5.0
- #Third Party Logistics
- #エアコン
- #カーボンニュートラル
- #ガソリン
- #グッズ
- #コールドチェーン
- #コロナ
- #コロナ禍
- #システム建築
- #タグを削除: RiSOKOセミナー RiSOKOセミナー
- #デバンニング
- #トラック待機時間
- #バンニング
- #ひさし
- #ピッキング
- #フォークリフト
- #プラスチック削減
- #フルフィルメント
- #プロトン凍結
- #フロン排出抑制法
- #フロン管理義務
- #マテハン
- #マテハン機器
- #メディカル物流
- #ラック
- #リチウムイオン蓄電池
- #ロボット
- #ロボット化
- #中小企業支援策
- #事故事例
- #人手不足
- #人材不足
- #低温倉庫
- #低温物流
- #保安距離
- #保有空地
- #保管効率
- #保管場所
- #保管温度帯
- #倉庫
- #倉庫の強度
- #倉庫の種類
- #倉庫建設
- #倉庫建設コンサルタント
- #倉庫新築
- #倉庫業法
- #倉庫火災
- #免震
- #共同物流
- #冷凍倉庫
- #冷凍自動倉庫
- #冷凍食品
- #冷蔵倉庫
- #冷蔵庫
- #削減
- #労働時間
- #労働災害
- #医療機器
- #医療物流
- #医薬品
- #医薬品の物流業務
- #医薬品保管
- #医薬品倉庫
- #危険物
- #危険物倉庫
- #危険物施設
- #営業倉庫
- #国際規格
- #土地
- #地震
- #地震対策
- #基礎知識
- #安全
- #安全対策
- #定期点検
- #定義
- #対策
- #屋内タンク貯蔵所
- #屋内貯蔵所
- #工場
- #工場の衛生管理
- #建築基準法施行令
- #建設計画
- #従業員
- #感染予防
- #技術
- #換気設備
- #改修工事
- #政令
- #新型コロナウイルス
- #新築
- #施設設備基準
- #機能倉庫建設
- #水害
- #水害対策
- #治験薬
- #法律
- #消防法
- #消防設備
- #温度管理
- #火災
- #火災対策
- #災害
- #無人搬送ロボット
- #無人搬送車
- #無人配送車
- #燃料費
- #物流
- #物流DX
- #物流センター
- #物流倉庫
- #物流倉庫新設
- #物流倉庫自動化
- #物流拠点
- #物流業界
- #物流総合効率化法
- #物流課題
- #特殊倉庫
- #用途地域
- #異物混入
- #着工床面積
- #空調
- #結露
- #耐震工事
- #職場認証制度
- #自動倉庫
- #自動化
- #自動車運送事業者
- #衛生管理
- #補助金
- #規制緩和
- #調理器具
- #貸倉庫
- #軽油
- #適正流通ガイドライン
- #関西物流展
- #防災
- #防災用品
- #防爆構造
- #集中豪雨
- #電気代
- #電気代削減方法
- #静電気
- #静電気対策
- #非危険物
- #非接触
- #食品倉庫
- #食品物流
- #食品衛生法
もっと見る▼