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危険物倉庫を安価に建てる方法とメリットデメリットをご紹介

危険物倉庫を安価に建てる方法とメリットデメリットをご紹介

投稿日:2023.07.20 
更新日:2024.03.21 
お役立ち情報

消防法で『危険物』に指定される物品を保管するためには、さまざまな施設設備基準を満たした『危険物倉庫(危険品倉庫)』を用意する必要があります。この記事でご紹介する危険物とは、毒物や劇物ではなく、消防法で定められた以下のような物品です。

○消防法で定められているもので、一般的に次のような性質を持った物品をいいます。

火災発生の危険性が大きいもの
火災拡大の危険性が大きいもの
消火の困難性が高いもの
*私たちの身近なものでは、ガソリン・灯油・油性塗料等があります

引用:総務省消防庁|「危険物」とは?より

当記事では、消防法で定められる危険物を保管するための危険物倉庫に求められる施設設備の基準や、危険物倉庫の建設を検討した場合、より低コストで実現するための手法などを解説します。危険物倉庫も、テント倉庫、プレハブ倉庫など、安価に建てることができるのですが、決して見落とすことができないデメリットも存在しますので、その辺りについて詳しく解説します。

危険物倉庫建設のポイント

危険物は、物品が持つ特徴により、第1類から第6類までの6種類に分けられています。それぞれの危険物の特徴は、以前「簡単にわかる【危険物の基礎知識】危険物倉庫で働く方は要確認」でご紹介しています。こちらもぜひご参照ください。

 

危険物倉庫に求められる基準

危険物の保管方法は、消防法によって以下のように定められています。

指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。
引用:e-Gov|消防法

条文にある『貯蔵所』として倉庫を使用する場合、一般的にその施設が危険物倉庫と呼ばれます。そして、危険物倉庫は、その名称通り、火災発生の危険性が高い物品を保管することになるため、一般的な倉庫と比較すると、ハード面での基準が厳しく設定されており、位置・設備・構造などの点で法で定められた基準を満たしている必要があります。

それでは、危険物倉庫が満たしていなければならない基準を以下で簡単にご紹介します。

危険物倉庫に求められる位置などに関する基準

・近隣の保安対象物(学校や病院など)に応じた保安距離を確保すること
・危険物の貯蔵量や倉庫の構造に応じて保有空地を確保すること

危険物倉庫に求められる構造などに関する基準

・軒高:6m未満で平屋であること
・床面積:1000㎡以下であること
・屋根:軽量金属板等の不燃材料を用いること
・壁や梁:耐火構造であること
・床:耐火構造であること
・窓:網入りガラスにすること

危険物倉庫に求められる設備などに関する基準

・避雷設備の設置 (指定数量が10倍以上の場合)
・蒸気排出設備の設置 (引火点70℃以内の危険物)
・採光の確保

危険物倉庫を安価に建てる方法について

次に、実際に危険物倉庫の建設を検討した時、「より安価に建てられる方法は?」という疑問について解説していきます。

危険物の中には、ガソリンや灯油、化粧品に医薬品、消毒用アルコールなど、一般の方にとっても非常に身近な物品も少なくありません。そして、EC市場が急速に拡大する中、危険物に指定される商品の保管需要も急拡大しており、危険物倉庫の需要が年々増大しているという状況になっています。

ここでは、出来るだけ安価に危険物倉庫の建設するための手法と、それぞれの注意点を解説します。

倉庫の種類と建築費用目安について

一口に倉庫と言っても、いくつかの種類が存在しており、大きく分けるとテント倉庫やプレハブ倉庫、システム建設倉庫などの種類が存在します。それぞれの倉庫について、主な倉庫の坪あたりの建築費の目安は以下のようになっています。

  • テント倉庫・・・7万円前後
    骨組みを組み立てて、そこにシートを張った簡易的な倉庫です。テント倉庫は、建築費を抑えられる、工期が短いという点がメリットです。
  • プレハブ倉庫・・・15万円前後
    工場で製造されたパーツを、現場で組み立てて作る倉庫です。短工期・低コストでありながら、耐久性も優れていて、長期的に使用できるのがメリットです
  • システム建築倉庫・・・20万円前後
    お客様のオーダーや必要な機能性なども考慮してデザインできるなど、自由度が高い倉庫です。強度が高く長寿命だというメリットがある反面、他の倉庫と比較すると建築費が割高になる傾向があります。

WEB上でよくある”建築費の目安”について注意が必要なのは①面積は「㎡」なのか?「坪」なのか?「㎡」と「坪」で3.3倍も変わりますので、確認が必要です。また、②その費用には何が含まれているか?上部構造(鉄骨)と床、屋根、外壁程度までで、設備(電気や換気、給排水、消火設備など)や杭・基礎、外構工事等は含まれていない事が一般的です。特に危険物倉庫については消火設備にかかる費用が大きく、実際に計画を進めてみると結果的にWEB上の目安費用の2~3倍程度の費用となったという事はよくある話です。

なお、倉庫の構造別の「全国の1㎡当たりの工事費用の平均」についても、国税庁が公表しているデータをご紹介します。

  • 鉄骨造・・・1㎡当たり25.6万円
  • 鉄筋コンクリート造・・・1㎡当たり26.5万円
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造・・・1㎡当たり28.4万円

参照:国税庁「地域別・構造別の工事費用表(1㎡当たり)

上記の単価はあくまでも目安で、立地や条件によって変動すると考えてください。さらに、近年では、燃料費の上昇や建材価格の高騰などもあり、建築費は上昇傾向にあります。建設物価調査会の建築物価建築費指数をチェックすると、建築費の動向が追えるのですが、2015年を基準の100とする同指数によると、建築費は年々上昇し、2023年6月は以下の指数を示しています。

  • 集合住宅(鉄筋コンクリート造)の6月の工事原価は、123.3と前月比1.5%上昇した。
  • 事務所(鉄骨造)の6月の工事原価は、125.9と前月比1.7%上昇した。
  • 工場(鉄骨造)の6月の工事原価は、125.5と前月比1.4%上昇した。
  • 住宅(木造)の6月の工事原価は、131.5と前月比0.8%上昇した。

引用:建設物価調査会サイトより

倉庫建設にかかる費用については、どのような倉庫を建てるのか、どのような手法で建てるのかによって異なるため、詳細は建設会社に相談しましょう。なお、「できるだけ安価に危険物倉庫を建てたい!」と考えた場合、テント倉庫やプレハブ倉庫という方法が良さそうですが、この2つの手法については注意点がありますので、以下で簡単に解説します。

テント倉庫、プレハブ倉庫による危険物倉庫の注意点

危険物倉庫は、一般的な物流倉庫と比較すると、土地や建物に求められる基準が非常に厳しいこともあり、建築費が割高になってしまう傾向があります。そのため、安価に倉庫を建てられるテント倉庫やプレハブ倉庫と言った手法を検討する方は少なくありません。

しかし、テント倉庫やプレハブ倉庫には、いくつかのデメリットが存在しますので、以下でご紹介します。

テント倉庫のデメリット

テント倉庫は、耐久性などの不安から、「危険物の保管はできないのでは?」と考える方も多いのですが、法律上、建築物と認められていますので、危険物倉庫として利用することも可能です。テント倉庫であれば、上述したように、低コスト、短工期で危険物倉庫として利用できるようになるというのが最大のメリットです。

ただし、危険物倉庫は、非常に厳しい施設設備基準が設けられています。さらに、危険物倉庫をテント倉庫で実現する場合は、保管物の種類や数量が制限されるので、危険物倉庫建設の目的によっては、テント倉庫が使えないケースもあります。

プレハブ倉庫のデメリット

プレハブ倉庫は、一般住宅の庭に既製品の小さな倉庫(物置)を設置するといったイメージです。一般的には、完成品(ユニット型少量危険物保管庫)として提供される場合が多いのですが、より安全性と堅牢性を高めるため、現場組み立て式で提供される製品が増えています。危険物倉庫をプレハブ倉庫で実現する場合のメリットは、テント倉庫と同様に、短期間で危険物倉庫が完成する、通常の危険物倉庫と比較すると低コストで実現するという点です。

プレハブ倉庫による危険物倉庫も、保管物の種類や数量が制限されるという大きなデメリットが存在します。プレハブ倉庫による危険物倉庫は、以下の第4類危険物のみが対象となるケースが多いです。

分類 特徴
特殊引火物 第4類の中でも特に引火しやすいもの ジエチルエーテル,二硫化炭素
第 1 石油類 引火点が 21 度未満の石油類 ガソリン
アルコール類 炭素数 3 以下の飽和 1 価アルコール エチルアルコール,メチルアルコール
第 2 石油類 引火点が 21 度以上 70 度未満の石油類 灯油,軽油
第 3 石油類 引火点が 70 度以上 200 度未満の石油類 重油
第 4 石油類 引火点が 200 度以上 250 度未満の石油類 ギヤー油,シリンダー油
動植物油類 動植物を原料とする油類 ヤシ油,アマニ油

まとめ

今回は、年々その需要が増大していると言われている危険物倉庫について、安価に危険物倉庫を建てる方法のメリットとデメリットを解説しました。

この記事でご紹介したように、テント倉庫やプレハブ倉庫と言った手法を採用することで、安価に危険物倉庫を建設することは可能です。しかし、テント倉庫やプレハブ倉庫による危険物倉庫は、保管できる危険物の種類や量が制限されます。この記事を読んでいただき自社はどうするべきかお悩みの企業様は危険物倉庫建設の実績豊富なRiSOKOにご相談ください。目的に合わせてスムーズで無駄のない倉庫建設をご提案いたします。
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