3温度帯とは?食品物流における課題や倉庫建設のポイント
投稿日:2023.08.25 
更新日:2024.06.21 
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												EC市場でさまざまな食品が取り扱われるようになった現在では、物流業務を行う上で『3温度帯』という用語を耳にする機会が増えています。この3温度帯とは、「常温(ドライ)」「冷蔵(チルド)」「冷凍(フローズン)」という3つの温度帯に分けて商品の保管や配送を行う管理方法を指しており、主に温度や湿度の変化によって品質が低下する恐れがある食品の保管や配送時に使われています。
食品は、それぞれの商品に適した温度帯で保管・配送が出来なければ、消費者の手元に届くまで、品質や鮮度を保つことができません。そのため、食品物流においては、保管、配送時の適切な温度管理が重要とされているのです。
そこで当記事では、3温度帯の概要や3温度帯管理をする倉庫の課題などについて解説します。
3温度帯とは
3温度帯は、保管や配送時の温度指定で使用される物流用語で、このほかにも「保管温度帯」とも呼ばれています。温度帯区分や呼称については、必ずしも統一されていませんが、以下のような温度帯で区別されています。
- 常温(ドライ):10~15℃(または20℃)
低い温度管理を必要としない商品が対象となります。具体的には、食料油やドレッシング、チョコレートなどが常温の保管温度帯に適しています。この他にも、缶詰や非常食など、温度や湿度変化の影響を受けにくい商品の長期保管に用いられます。 - 冷蔵(チルド):-5~5℃
常温では保管が難しいものの、冷凍する必要が無い食品が対象です。温度帯は、一般家庭にある冷蔵庫と同等で、乳製品や精肉、生鮮食品の保管に適した温度帯です。コールドチェーンの発達により、冷蔵管理の需要はますます増えています。 - 冷凍(フローズン):マイナス15℃以下
常温や冷蔵と言った保管温度帯では品質が低下してしまう食品が対象です。具体的には、冷凍食品やアイスクリームなどの商品の保管に適した温度帯です。ちなみに、冷凍マグロを始めとした、-40℃以下でないと品質低下の恐れがある食品の保管温度帯については「超冷凍」とも呼ばれます。 
この3温度帯は、主に細かな温度管理が求められる食品の保管や配送時に用いられる管理方法です。例えば、肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品、アイスクリームなどは、適切な温度管理が食品の品質に大きく関わるため、それぞれの商品にふさわしい管理方法の徹底が求められます。したがって、食品を扱う物流業務では、3温度帯の管理を慎重に行わなければいけません。
関連記事:コールドチェーン(低温物流)の仕組みや必要性を解説
4温度帯との違い
物流用語には、3温度帯以外にも『4温度帯』というものがあります。この4温度帯は、上述した3温度帯の区分である「常温(ドライ)・冷蔵(チルド)・冷凍(フローズン)」に、『定温』と呼ばれる温度帯を加えて、4つの区分にした管理方法です。つまり、3温度帯と4温度帯の違いについては、「定温管理が含まれているか否か」で分けられています。
4温度帯にある「定温」は、「主に10~20℃の温度帯において一定の温度や湿度が保たれている環境」のことを指しています。定温は、常温と混同されがちですが、この二つの温度区分の違いは、温度や湿度が管理されるか否かにあります。定温管理では、先述したように温度と湿度を一定で管理していますが、常温管理の場合、屋外の温度を基準としているため、季節によって温度が異なります。
倉庫保管における3温度帯について
3温度帯を管理する倉庫については、以下の3種類の倉庫に分けられます。
常温倉庫
常温倉庫は、その名称から分かるように、温度や湿度の調整を行わない倉庫のことを指しています。倉庫内の保管温度は、季節や倉庫立地の影響を大きく受けるという特徴があります。一般的に、常温倉庫での保管温度は、5~30℃程度の間で変動します。
常温倉庫は、庫内の温度や湿度が上下しますので、保管する商品は温度・湿度の変化による影響を受けない物品の保管に適していて、具体的には、以下のような食品の保管を担っています。
- 缶詰、缶ジュース
 - 非常食、保存食
 - 食料油
 
常温倉庫では、食品以外にも、紙製品、金属製品、瓶や陶器製品などの低温と高温に強い素材の製品、建築資材や機械部品など外気温の変化に影響されにくい物品の保管が行われます。
冷蔵倉庫
冷蔵倉庫は、倉庫内の温度を10℃以下に管理して、商品の保管を行う倉庫を指しています。倉庫の分類上、10℃以下で保管する倉庫は全て冷蔵倉庫と呼称するのですが、わかりやすくするため、冷蔵倉庫と冷凍倉庫を分けて呼ぶこともあります。
冷蔵倉庫での保管が求められる食品は、以下のような物品です。
- ヨーグルトなどの乳製品
 - 肉・魚
 
なお、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」によると、肉製品、生食用かき、マーガリンやラードなどの固形油脂、乳製品、クリームなどが、冷蔵倉庫での保管を推奨されています。
 
参照:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
冷凍倉庫
上述したように、10℃以下の保管温度が保たれている倉庫は、全て冷蔵倉庫に分類されます。ただ、冷蔵倉庫のうち、倉庫内温度を-20℃以下で管理している倉庫を冷凍倉庫と呼んでいます。冷蔵倉庫の区分については、以前「低温倉庫(定温倉庫)とは?『常温・低温・冷蔵・冷凍』倉庫の保管温度帯についてご説明」という記事の中で解説していますので、こちらもご参照ください。
冷凍倉庫で保管される主な食品は、以下のような物品です。
- 冷凍食品
 - アイスクリーム
 - 肉・魚
 
定温倉庫をはじめ倉庫の種類や機能別倉庫の建築方法についてはこちら
倉庫における3温度帯管理の課題について
3温度帯管理は、季節の移り変わりによる温度や湿度の変化があっても、商品の品質を保てるようになるという点が大きなメリットです。日本には四季があり、季節によって温度差が非常に激しいです。特に、夏場は猛暑化が進んでいると言われており、近年では夏の暑い日は外気温が40℃に迫ることも珍しくなくなっています。そして、冬場は0℃を下回る地域も珍しくなく、夏と冬では大きな温度差があります。さらに、湿度に関しても、季節によって大きな変化があります。食品の中には、温度や湿度の変化に弱い製品もあり、適切な温度・湿度管理がなされていない場合、品質の低下や劣化を招いてしまいます。3温度管理は、温度・湿度の変化に弱い商品に関しても、品質を保ちながら保管や配送が可能になるという点が大きなメリットです。
ただし、さまざまな製品の保管を担う倉庫において、3温度帯管理を実現するにはいくつかの課題があります。
- コストの問題
3温度帯管理を行うには、3つの温度に対応した倉庫が必要です。例えば、低温で商品を保管する冷蔵倉庫や冷凍倉庫の場合、単に保管スペースを確保すれば良いのではなく、冷却設備が必要となります。さらに、倉庫を運用する時には、霜や湿気対策にもコストが発生しますし、倉庫内で作業する従業員のために、専用の防寒着なども用意する必要があります。つまり、通常の倉庫を建設し運営する場合と比較すると、さまざまな面で多くのコストがかかるという課題があります。 - 保管以外の工程でも温度管理が必要になる
3温度帯管理では、倉庫内で保管している時だけでなく、トラックへの搬入や配送時にも適切な温度管理が求められます。倉庫やトラックが3温度帯に対応している場合でも、商品を移動させる時に使用するコンテナなどで温度管理ができていなければ、品質の低下につながる恐れがあります。したがって、3温度帯管理を行う場合、保管から配送までの全ての工程において、どのようにして一定の温度管理を維持するのかという点が大きな課題になります。 
まとめ
今回は、物流業界で耳にする機会が増えている『3温度帯』の意味について解説しました。
記事内でご紹介したように、『3温度帯』は、「常温(ドライ)」「冷蔵(チルド)」「冷凍(フローズン)」という3つの温度帯に分けて商品の保管や配送を行う管理方法のことで、温度や湿度の変化に弱い食品物流などで主に用いられています。EC市場が年々拡大する中で、さまざまな食品が取り扱われ、それぞれの製品に合わせた方法で保管・配送を行わなければならない状況ですが、倉庫だけでなく配送を行うトラックでも一定の温度管理を維持するひつようがあるため、導入にかかるコストが課題となっています。
温度管理・湿度管理に課題をお持ちの方は、冷蔵・冷凍倉庫の施工実績豊富なRisokoにご相談ください。保管のみならず配送計画も加味した最適な提案が可能です。
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