危険物屋内貯蔵所とは?屋内タンク貯蔵所とは別ものとして扱われます!
投稿日:2019.11.05
更新日:2024.03.21
お役立ち情報
今回は、危険物倉庫の種類について、イマイチ違いが分からない…という方が多い『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』についてご紹介します。
危険物については、毒薬や劇物などをイメージする方も多いかもしれませんが、これは「通常の状態で保管・放置しておくと、引火性・発火性があり、火災や爆発、中毒などの災害につながる危険がある物質」の総称で、消防法によって定められています。ちなみに、私たちの生活にも非常に身近なガソリンや灯油なども危険物に指定されています。これらの危険物に関しては、一定以上の量を保管、または取り扱いする場合には、さまざまな基準を満たした施設が必要となるのです。
『屋内貯蔵所』や『屋内タンク貯蔵所』というのは、危険物を保管しておく施設の種類となるのですが、その名称が非常に似ているため、混同して考えている方も多いと思います。そこで今回は、さまざまある危険物を保管する施設の中でも、『屋内貯蔵所』や『屋内タンク貯蔵所』の違いを中心にご紹介します。
Contents
『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』の違いについて
それではまず、『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』の違いをご紹介していきましょう。『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』が、「危険物を保管するための場所」という点については同じなのですが、細かく見てみるとさまざまな違いが存在します。
危険物の屋内貯蔵所からご紹介すると、これは文字通り、危険物を屋内において容器ごと取り扱ったり、保管するための施設となります。一般的に言われる『危険物倉庫』がこれに当たると考えて良いです。屋内タンク貯蔵所については、『屋内』という部分は同様なのですが、専用のタンクを屋内に設置し、その中で危険物の保管をする施設となります。したがって、『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』は、「屋内で危険物の保管をする施設」だとは言え、別物の施設として区別されているのです。
なお、屋内貯蔵所は、あくまでも危険物の保管や取り扱いをするための施設であり、屋内で危険物を容器のまま販売する施設は、『販売取扱所』とされ、これも別物の施設として区別されます。こういった危険物の保管や取り扱いを行う施設は、消防法によってさまざまな基準が設けられています。以下で、危険物貯蔵所を建設する場合におさえておかなければいけない基準をご紹介しておきましょう。
『屋内貯蔵所』の基準について
危険物の取り扱いや保管を行う施設は、全て同じ施設なのではなく、役割によって区別されています。そして、施設の種類に応じた、構造的な基準や設備の基準が消防法によって定められています。ここでは、屋内貯蔵所の建設を検討した場合に、おさえておかなければいけない施設の基準をご紹介します。
構造的な基準
屋内貯蔵所は、「軒高6m未満・床面積1000㎡以下の平屋」でなくてはいけません。つまり、2階建て以上の建築物では、屋内貯蔵所として利用できないのです。
屋内貯蔵所の屋根は、軽金属など、不燃性材料を使用しなければならず、天井を設けてはいけないという基準もあります。これは、万一爆発事故などが発生した場合、爆風が屋根から抜けていくようにするための対策です。他にも、梁・柱・床など、むき出しになる部材は、鉄筋コンクリートなど、耐火構造等にしなければならないと定められています。さらに、危険物が床材や地下に浸透していかないような床構造にし、床には傾斜をつけて、こぼれてしまった危険物が貯まる『ためます』の設置が必要です。
なお、窓ガラスも網入りガラスなど、強度が高いものを使用しなければいけないと定められています。
- 軒高(のきだか)・床面積 ⇒ 軒高6m未満・床面積1000㎡以下の平屋
- 屋根 ⇒ 軽金属など、不燃材料を用いる。また天井は設けてはいけない。
- 壁、梁(はり)など ⇒ 壁、柱、床は耐火構造でつくる。また、梁は不燃材料を使用する。
- 窓 ⇒ 網入りガラスを用いる。
- 床 ⇒ 危険物が浸透しない構造にする。また、傾斜をつけて漏れた危険物を貯められるように、『ためます』を設ける。
設備的な基準
屋内貯蔵所の中でも、指定数量の十倍以上の危険物を保管する場合、避雷針を設置しなければならないと定められています。また、引火点70℃未満の危険物を貯蔵する場合、蒸気排出設備を設ける必要があります。天井には、採光設備や照明を設置することで、危険物を安全に取り扱いできるのに必要な明るさを確保しなければいけません。
- 避雷設備 ⇒ 指定数量が10倍以上の施設の場合、避雷設備を設ける。
- 蒸気排出設備 ⇒ 引火点70℃未満の危険物を貯蔵する場合は、蒸気排出設備を設ける。
- 採光設備 ⇒ 安全に危険物を取り扱うのに必要な明るさを確保するため、採光設備や照明をつける。
屋内貯蔵所に保管が必要な危険物を取り扱う倉庫を設計する際には、上記のような構造的な基準と設備的な基準を正しく理解した上で設計を行う必要があります。危険物の保管や倉庫の建設をお考えの際は、危険物倉庫のRiSOKOに、是非お問い合わせください。
また、危険物を貯蔵し、又は取り扱う建築物の周囲に、次の表に掲げる区分に応じそれぞれ同表に定める幅の空地を保有します。
区分 | 空地の幅 | |
当該建築物の壁、柱、床が耐火構造である | 左欄に掲げる場合以外 | |
指定数量の倍数が5以下の屋内貯蔵所 | – | 0.5m以上 |
指定数量の倍数が5を超え10以下の屋内貯蔵所 | 1m以上 | 1.5m以上 |
指定数量の倍数が10を超え20以下の屋内貯蔵所 | 2m以上 | 3m以上 |
指定数量の倍数が20を超え50以下の屋内貯蔵所 | 3m以上 | 5m以上 |
指定数量の倍数が50を超え200以下の屋内貯蔵所 | 5m以上 | 10m以上 |
指定数量の倍数が200超えの屋内貯蔵所 | 10以上 | 15m以上 |
『屋内タンク貯蔵所』の基準について
ここでは、屋内タンク貯蔵所の建設を検討した場合に、おさえておかなければいけない施設の基準をご紹介します。
屋内タンク貯蔵所は、貯蔵危険物の内容や貯蔵量などによって、細かい規定や特例などが定められています。
構造的な基準
- 屋内貯蔵タンクは平屋建ての建築物に設けられたタンク専用室に設置する
- 見やすい箇所に屋内タンク貯蔵所である旨を表示した標識など必要な事項を掲示する
- 屋内貯蔵タンクの構造は厚さ3.2mm以上の鋼板で、屋内貯蔵タンクの外面にはさびどめのための塗装をする
- タンクと壁の間、またはタンクを複数置く場合のタンク間の間隔は0.5m以上
- 屋内貯蔵タンクの容量は指定数量の40倍以下
- タンク専用室は、壁、柱、床及びはりを耐火構造とする
- タンク専用室の床は、危険物が浸透しない構造にして、適当な傾斜を付ける
- タンク専用室の出入口の敷居の高さは、床面から0.2m以上
設備的な基準
- タンク専用室の窓や出入り口には防火設備を設ける
- 延焼の恐れのある外壁に出入口を設ける場合は、随時開けられる自動閉鎖の特定防火設備を設ける
- 危険物の貯蔵や取り扱いに必要な採光、照明、換気設備を設ける
参考:危険物の規制に関する政令 第12条(屋内タンク貯蔵所の基準)
まとめ
今回は、危険物施設の中でも、『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』の違いや、『屋内貯蔵所』が備えていなければならない基準についてご紹介しました。『屋内貯蔵所』と『屋内タンク貯蔵所』に関しては、名称が似ていることや、どちらも屋内で危険物を保管・取り扱う施設となることから、混同している人も多いのではないでしょうか。
しかし、本稿でご紹介したように、この二つの施設は、別の施設として区別されており、それぞれの施設を建設する場合には、定められている基準が異なるのです。危険物は、その言葉通り、取り扱い方法を少しでも間違ってしまうと、人の命に関わる重大事故につながるものです。したがって、これらの建設には非常に厳しく細かな基準が設けられているのです。一般の方が、そういった法律的な基準を全て把握するのは難しいことから、危険物施設の建設計画には専門家のアドバイスが必要と言えるでしょう。
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