3PLの定義や広がる背景から重要性とメリット・デメリットを解説
投稿日:2024.01.10
更新日:2024.02.01
お役立ち情報
物流に関わる業務に携わっている方であれば「3PL」という用語を耳にしたことがあると思います。3PLとは、「Third Party Logistics(サードパーティー・ロジスティクス)」の頭文字をとった略称で、物流にかかわる業務を進めるうえで特に重要な考え方とみなされており、国土交通省も強く普及を推進しています。
そこで当記事では、3PLの定義やその重要性、実際に導入する場合のメリット・デメリットなどについて分かりやすく解説します。
そもそも3PLとは?
それではまず、3PLが何なのかについて解説します。国土交通省のwebサイトでは、以下のように解説されています。
3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。
引用:国土交通省サイトより
3PLは、簡潔に言うと最も効率の良い物流戦略を実現するため、第三者企業に物流機能を委託する業務形態のことを指しています。3PLでは、荷主企業(メーカーなど)を「ファーストパーティ」、納品先を「セカンドパーティ(卸売業や小売業など)」、そして物流業務を担う企業を「サードパーティ」と位置づけ、サードパーティが物流を一元化することから、サードパーティーロジスティクスと呼ばれます。
サードパーティに位置付けられる第三者企業は、運送会社や倉庫会社などの物流会社が請け負うことになるため、多くの物流に関するノウハウを持っています。したがって、荷主企業であるファーストパーティーは、物流に関して企画立案から一括で委託することができるようになり、物流部門のコスト最適化や物流品質の向上を見込むことが可能です。さらに、物流関連の仕事をまるまるアウトソーシングすることができるようになることから、メーカーは本業である、製品の開発や製造に専念することができるようになります。
ちなみに、荷主企業が物流システムの計画、構築、管理など自社のみで実行する形態は「1PL(ファーストパーティ・ロジスティクス)」、物流管理などは自社で行い輸送など一部を専門業者に委託する形態を「2PL(セカンドパーティ・ロジスティクス)」と言います。
3PLが注目される背景とその重要性
それでは、日本国内で3PLが広がっている背景についても解説します。国土交通省が行ったアンケート調査によると、荷主企業において「既に3PLを利用している」と回答した割合は55%で、さらに「現在は利用していないが、今後利用する意向がある」と回答した割合が13%となっており、約7割の荷主企業が3PLの導入が必要と考えているというデータがあります。
それでは、日本国内の多くの企業で3PLが広がっているのはなぜなのでしょうか?これは、多くの荷主企業が物流関連の業務で苦境に陥ったことが大きな要因と言われています。荷主企業にとっては、より効率的な物流の実現は事業の核心とも言えるのですが、自社で倉庫や配送のための車、物流業務を担う人材や各種管理ツールなどを揃えるとなると、膨大な時間とコストがかかってしまうことになります。したがって、物流関連の業務を丸ごと外部の物流企業にアウトソーシングするという選択肢が注目され始め、その形態が徐々に広がっていったという流れが作られました。実際に、先ほどご紹介したアンケート調査によると、荷主企業が3PLの利用に踏み切った動機や理由は、以下の6つの利点をあげる企業が多かったようです。
- 自社で行うよりも、コスト削減ができる
- 物流改善ノウハウや人材の不足を補える
- 新規投資が抑制できる
- コストが明確化する
- 包括的な物流サービスを享受できる
- 物流改善ノウハウや人材の不足を補える
荷主企業にとっては、「自社の商品を良好な状態を保ったまま滞りなく届ける」ことが企業にとって非常に重要な業務となります。3PLの導入は、プロである3PL業者に物流業務を委託することができるため、物流にかかるコストを抑えつつ、配送の品質を高水準に保つことができます。したがって、物流の委託によって空いた時間やリソースを本業に使うことができるようになると期待できるでしょう。
つまり、荷主企業にとっては、効率の良い物流と自社の成長を両立するためにも、3PLの活用が重要と考えられるようになったのでしょう。
参照:国土交通省資料より
3PLのメリットとデメリット
それでは、実際に3PLの導入を行った場合に得られるメリットと注意しなければならないデメリットについてもご紹介します。
3PL導入のメリット
3PLの導入には数多くのメリットがあると言われています。ここでは、代表的なメリットをご紹介します。
- コストの最適化
自社で物流業務を担う場合、人件費や倉庫費用などが荷量に関わらず固定費として毎月発生します。しかし、3PLを導入し、物流業務を第三者企業に任せることができれば、この固定費を変動費に切り替えることができます。荷量が少ない月はコストが少なくなるなど、物流コストの最適化が実現します。 - 生産性の向上
3PLは、物流に関わる業務をプロである第三者企業に任せることになります。つまり、自社で物流を行う場合と比較すると、物流効率が向上し、より多くの商品を配送することが可能になると期待できます。たとえ、3PL導入前と物流にかかるコストが変わらなかったとしても、物流効率の向上による売り上げのアップが期待できるので、生産性の向上が期待できます。 - 物流品質の向上
3PLの導入は、プロが今まで培ってきた独自のノウハウを利用した物流業務が行われるようになるため、スムーズな配送により納品時間の短縮を実現したり、ミスの少ない作業で確実性を高めるなどのメリットが得られます。また、在庫管理などの面でも、専門業者に任せることで不良在庫の発生率低下などが期待できます。物流機能を3PL業者に委託することで、物流に割いていた時間や人材を別の業務に割り当てることができるようになるため、コア事業にも好影響があるでしょう。 - 販路の拡大
3PL業者に物流機能を委託することで、自社だけでは取り組めなかった新しい販路の拡大にも挑戦しやすくなります。例えば、昨今のECサイトなどは、配送先や配送方法が多岐にわたるため、自社による物流ではノウハウ不足で対応ができない場合も少なくありません。しかし、物流の専門家である3PL業者に物流機能を委託すれば、必要なノウハウを持っていますので、複雑な配送でもミスや遅延なく実行してもらうことができます。
3PL導入のデメリット
物流の効率化やサービス品質の向上、コスト削減など、さまざまなメリットが存在すると言われる3PLですが、導入した場合にはメリットばかりではなく、いくつかのデメリットもあります。ここでは、代表的なデメリットをご紹介します。
- ノウハウが蓄積されない
3PLは、第三者企業に物流機能を丸ごと委託することを意味します。したがって、物流業務がいくら効率化できたとしても、それを実現したノウハウは手に入りません。効率的な物流業務の内容やその管理方法、トラブル時の対応など、物流業務に関わるノウハウは3PL業者に蓄積されていくだけで、自社内には蓄積されることがないため、物流に詳しい人材は育ちにくい環境になっていきます。 - 自発的な改善提案が難しくなる
3PL導入後に、物流コストの削減を行うということは、すなわち3PL業者の売上が減るということにつながります。したがって、物流機能を3PL業者に委託した場合、業者側からの自発的な改善提案が出てきにくい点は注意しなければいけません。その上、自社内には物流に関わるノウハウが蓄積せず、物流人材の空洞化が起こってしまう可能性が高いことから、自社内からも物流コスト削減につながる戦略の提案は難しく、物流部門の改善が停滞してしまいがちです。
まとめ
今回は、企業の物流に関わる悩みを解決する「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」について解説しました。3PLは、物流業務を第三者企業に委託することで、物流におけるコスト削減だけでなく、物流品質の向上まで同時に実現できる方法として注目されています。実際に、3PLは国も強く普及を推進しており、研修会の開催や補助金の拠出など、さらなる普及のための対策に打って出ています。
3PLは、自社に物流に関するノウハウが蓄積できないなど、いくつかの注意点はあるものの、各企業が独自に物流を構築するよりも、スムーズで効率的に物流の最適化を行うにはおすすめの方法です。
関連記事
ARCHIVE
TAG
- #建設準備
- #グラフ
- #建築費
- #ドライバー不足
- #立地
- #2024年問題
- #3PL
- #3温度帯
- #4温度帯
- #AGV
- #AI
- #AVG
- #CAS冷凍
- #EC
- #FSSC22000
- #GDPガイドライン
- #IoT
- #IT
- #LED
- #RiSOKOセミナー
- #Society 5.0
- #Third Party Logistics
- #エアコン
- #カーボンニュートラル
- #ガソリン
- #グッズ
- #コールドチェーン
- #コロナ
- #コロナ禍
- #システム建築
- #タグを削除: RiSOKOセミナー RiSOKOセミナー
- #デバンニング
- #トラック待機時間
- #バンニング
- #ひさし
- #ピッキング
- #フォークリフト
- #プラスチック削減
- #フルフィルメント
- #プロトン凍結
- #フロン排出抑制法
- #フロン管理義務
- #マテハン
- #マテハン機器
- #メディカル物流
- #ラック
- #リチウムイオン蓄電池
- #ロボット
- #ロボット化
- #中小企業支援策
- #事故事例
- #人手不足
- #人材不足
- #低温倉庫
- #低温物流
- #保安距離
- #保有空地
- #保管効率
- #保管場所
- #保管温度帯
- #倉庫
- #倉庫の強度
- #倉庫の種類
- #倉庫建設
- #倉庫建設コンサルタント
- #倉庫新築
- #倉庫業法
- #倉庫火災
- #免震
- #共同物流
- #冷凍倉庫
- #冷凍自動倉庫
- #冷凍食品
- #冷蔵倉庫
- #冷蔵庫
- #削減
- #労働時間
- #労働災害
- #医療機器
- #医療物流
- #医薬品
- #医薬品の物流業務
- #医薬品保管
- #医薬品倉庫
- #危険物
- #危険物倉庫
- #危険物施設
- #営業倉庫
- #国際規格
- #土地
- #地震
- #地震対策
- #基礎知識
- #安全
- #安全対策
- #定期点検
- #定義
- #対策
- #屋内タンク貯蔵所
- #屋内貯蔵所
- #工場
- #工場の衛生管理
- #建築基準法施行令
- #建設計画
- #従業員
- #感染予防
- #技術
- #換気設備
- #改修工事
- #政令
- #新型コロナウイルス
- #新築
- #施設設備基準
- #機能倉庫建設
- #水害
- #水害対策
- #治験薬
- #法律
- #消防法
- #消防設備
- #温度管理
- #火災
- #火災対策
- #災害
- #無人搬送ロボット
- #無人搬送車
- #無人配送車
- #燃料費
- #物流
- #物流DX
- #物流センター
- #物流倉庫
- #物流倉庫新設
- #物流倉庫自動化
- #物流拠点
- #物流業界
- #物流総合効率化法
- #物流課題
- #特殊倉庫
- #用途地域
- #異物混入
- #着工床面積
- #空調
- #結露
- #耐震工事
- #職場認証制度
- #自動倉庫
- #自動化
- #自動車運送事業者
- #衛生管理
- #補助金
- #規制緩和
- #調理器具
- #貸倉庫
- #軽油
- #適正流通ガイドライン
- #関西物流展
- #防災
- #防災用品
- #防爆構造
- #集中豪雨
- #電気代
- #電気代削減方法
- #静電気
- #静電気対策
- #非危険物
- #非接触
- #食品倉庫
- #食品物流
- #食品衛生法
もっと見る▼