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物流センターは倉庫なのか?役割や機能を解説

物流センターは倉庫なのか?役割や機能を解説

投稿日:2023.01.06  お役立ち情報

新型コロナウイルスの影響によるライフスタイルの変化に伴い、EC市場の成長がさらに加速していると言われています。現在では、ほとんどの方がスマホを所有するようになっていますので、インターネットを介して欲しいものを簡単に購入することができるようになっています。

そして、EC市場の拡大に応じて、それを支える物流施設の需要が年々高くなっており、日本国内のいたるところで大型物流施設の建設が進められています。現在のEC市場では、ネットで注文した商品が当日中や翌日には手元に届くようなシステムになっているのですが、こういった物流面のサービスを支えているのが「物流センター」や「物流倉庫」と言った物流施設となります。

ただ、EC市場の拡大に合わせて、頻繁に耳にするようになってきた「物流センター」と「物流倉庫」という用語ですが、双方の違いについて明確に把握できている方はかなり少ないように思います。そこで当記事では、「物流センター」と「物流倉庫」の違いや、EC市場を下支えする物流センターの役割などについて解説します。

「物流センター」と「物流倉庫」それぞれの役割について

EC市場の拡大に伴い、「物流センター」という言葉を耳にする機会が増えています。ただ、物流施設の話をするときには「物流倉庫」という用語を耳にする機会も多く、「物流センターは倉庫ではない?」といった疑問を感じる方も少なくないと思います。「物流センター」と「物流倉庫」については、単に呼び方の問題でどちらも同じ施設の事を指していると考えている方も多いようですが、実はこの二つの施設の成り立ちは微妙に異なる部分があります。

物流倉庫と物流センターは、どちらも主たる用途は建築基準法上の『倉庫』という用途に該当しますので、倉庫であることには変わりありません。ただし、物流センターは、昨今のEC市場の拡大を発端としたサプライチェーンの進化に伴い、単なる『保管』や『貯蔵』と言った倉庫機能だけではなく、顧客の要望に合わせた細やかな機能性が整えられているのが特徴です。

ここでは、物流倉庫と物流センターについて、それぞれの役割を簡潔に解説します。

但し、これらは明確な定義付けをされているわけではなく、あくまでも現在一般的に使い分けされている役割での分類となります。

物流倉庫について

物流倉庫は、皆さんがイメージしている通りの施設だと思います。この施設は、通販などで販売される商品が購入されるまで一時的に保管しておくという、まさに『倉庫』の役割を持った施設です。

物流倉庫の主な役割は、商品が入荷されてから、出荷されるまでの期間、商品ごとの正しい品質管理方法のもと保管しておくことで、「入荷⇒保管⇒ピッキング⇒出荷(配送は含まない)」と言った業務を担っています。

関連記事:最適な倉庫レイアウトを実現する物流分析とは?

物流センターについて

次は物流センターについてです。物流センターも、物流倉庫と同じく、メーカーなどから商品を入荷し、注文が入るまで一時的に「商品を保管する」という役割を持っています。さらに、保管以外の物流に関わるバックヤード業務全般を担うことができるのが強みです。

物流センターでは、商品を「入荷」した後、「保管」「ピッキング」「流通加工」「検品」「包装・梱包」「出荷」「配送」まで、一連の業務を一手に担っています。物流倉庫は、あくまでも「商品を保管する」ことが目的となるので、保管する商品に合わせた保管設備が整えられています。しかし、物流センターは、保管以外にもさまざまな物流業務を担っていますので、設備面に関しても多くの最新技術が導入されるようになっています。また、施設自体も、「入出庫の頻度が高い」ことから、荷物の搬入・搬出経路などを考慮した設計がなされているのが特徴です。

物流センターの種類について

物流センターは、商品を「入荷」してから、「保管」「ピッキング」「流通加工」「検品」「包装・梱包」「出荷」「配送」など、物流に関わるさまざまな業務を担う施設のことを指しています。ただ、国内に点在する物流センター全てが、全く同じ業務を担っているというわけではなく、物流センターもいくつかの種類に分類することが可能です。

ここでは、物流センターの分類とそれぞれの特徴を簡単にご紹介します。

デポ

「デポ(depot)」は、小型の物流拠点のことを指しており、別称で「ストック・ポイント」と呼ばれる場合もあります。この施設は、施設そのものの規模が小さいので、必要最小限の在庫のみを保管し、少量ずつ高頻度で配送を行うなど、配送に特化していることが大きな特徴となります。

一般的に、大規模な物流センターの周辺に、ある程度のエリアに分けてデポを配置し、デポを経由して消費者や小売店に配送するという運用をされています。デポを適切に配置すれば、短い距離・時間で顧客のもとに荷物の配送が可能となるので、高頻度かつ迅速な配送ができる点が運用上のメリットです。

TC(トランスファーセンター)

TCは「Transfer Center(トランスファーセンター)」の略で、日本語に訳すと「通過型物流センター」となります。

この施設の大きな特徴は、在庫を持たない、つまり保管機能がない点です。TCは、商品の入荷、積み替え、仕分け、出荷業務を行う施設で、商品の入荷後すぐに仕分けを行い出荷するという作業工程になっています。

TCの主な例を挙げると、コンビニチェーンや大手スーパーマーケット、大型量販店などの物流センターとして利用されることが多く、日本における物流センターの形としては主流とも言えるかもしれません。

DC(ディストリビューションセンター)

DCは「Distribution Center(ディストリビューションセンター)」の略語で、日本語では「在庫型物流センター」と呼ばれています。

物流倉庫との違いは「商品を配送する機能を持っているか、持っていないか」といった点です。DCは、商品の保管を行わずすぐに出荷するTCと違い、大量の在庫を保管する機能が整っています。また、保管以外にも、「ピッキング」「流通加工」「検品」「包装・梱包」「配送」などの業務も担っています。

DCは、商品の入荷から検品→在庫管理→ピッキング→出荷と言った物流倉庫でも求められる役割を果たしています。おそらく、このDCの存在が物流センターと物流倉庫が混同される要因になっているのではないかと考えられます。

PDC(プロセスディストリビューションセンター)

PDCは、「Processes Distribution Center(プロセスディストリビューションセンター)」の略語です。日本語では「流通加工・在庫型センター」と呼ばれます。

PDCの主な機能は、荷物の保管、流通加工、ピッキング、検品、包装・梱包で、上で紹介したDCと非常に似通った業務を担っているように思えます。ただ、PDCは、DCよりも高度な流通加工を担える設備が整っています。例えば、パソコンなどの精密機械の組み立て、食品の加工など、取り扱う商品に合わせた専門的な機械・設備が導入されていることが大きな特徴です。

PDCの中には、生鮮食品を取り扱う施設も多いことから、工場のような生産ラインが併設されている事例もあります。

FC(フルフィルメントセンター)

FCとは英語のFulfillment Centerの略語です。近年、EC業界で『フルフィルメント(Fulfillment)』という言葉を耳にする機会が増えていると思うのですが、フルフィルメントを日本語に直訳すると、履行や遂行という意味になります。ECサイトで商品を購入した際に、「購入した商品が消費者の手元に届くまでの一連のプロセス」を指しており、EC事業における商品の保管から出荷、配送までを担う物流センターの総称です。

FCでは、受注管理や決済管理・顧客管理・返品及びクレーム対応など、ネット通販の運営に関わるバックヤード業務全般を請け負っている施設まであり、EC市場の拡大を発端としてサプライチェーンの進化が急速に進む中、EC業界を支えるEC特化型の物流センターとして年々その存在感が増しています。

まとめ

今回は、物流業界でよく耳にする施設の「物流センター」と「物流倉庫」について解説しました。この記事内でご紹介しているように、物流センターと物流倉庫は、建築基準法上の分類ではどちらも主たる用途は『倉庫』に該当する施設であることは間違いありません。しかし、それぞれの施設が持つ機能性については、異なる部分が多く存在します。物流センターは、EC市場がどんどん拡大する中、それを下支えする物流施設に求められる機能が年々複雑化していき、それに応えられるような施設になるよう進化してきたという表現が合っているのではないかと思います。

建築的に注意が必要な点としましては、建築基準法上の『倉庫』は『非居室』扱いとなり、人が継続的に使用する『居室』と比較して設置すべき設備基準が緩和されます。一方、「物流センター」や「物流倉庫」における流通加工やピッキングなどで人の継続的な使用が前提となれば、主たる用途が『倉庫』とはいえ『居室』と捉え、採光や換気等の設備を設置する必要があります。新たに拠点を設ける際には、後の使用者の環境を整えるためにも設計段階で室やエリアの使い方を綿密に打合せする事をお勧めします。

なお、物流センターと物流倉庫は、どちらも物流を下支えする施設であり、どちらか一方の施設が生き残っていけば良いというものではありません。この記事でご紹介しているように、同じ物流センターに分類される施設の中でも、いくつかの種類に分かれているように、こういった施設はその時代のニーズに合わせて柔軟に変化していくという特徴を持っています。したがって、数年後の物流施設は、この記事でご紹介した姿とは全く異なるものになっているかもしれません。

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