物流センターや倉庫の電気代削減方法4選!
投稿日:2023.06.08
更新日:2023.07.25
お役立ち情報
昨今、新聞記事やTVのニュースにて物価高騰に関する報道に接する機会が増えています。さまざまな物価の高騰は、家庭へ大きな影響を与えていると言われていますが、当然、企業への影響も大きく、特に物流業界への影響は直接的かつ深刻なものがあると言われています。実際に、東京商工リサーチは、2022年の企業倒産について、「道路貨物運送業の倒産、前年比4割超と急増 4分の1が燃料費などの『物価高』」の実態情報を公開しています。
道路貨物運送業について、昨今の燃料費高騰がコスト上昇に直結することは誰もがイメージできることだと思います。燃料のもととなる原油価格は、ロシアのウクライナ侵攻などの国際情勢や為替の円安基調など、さまざまな要因により、現在も高止まりが続いていて、ここにきて大手電力会社の電気料金値上げに関する情報まで頻繁に耳にするようになっています。電力会社各社による電気料金の値上げについても、ウクライナ問題などの国際情勢の影響から石炭や液化天然ガス(LNG)の輸入価格が高騰しているのが背景にあると言われています。
物流企業にとっては、トラック運送に必要な燃料の高騰に加え、物流センターや倉庫の運用に必要になる電気料金まで値上げされることになると、大幅なコストアップを招き、事業の存続すら危ぶまれる状況に追い込まれる恐れがあることでしょう。そこで当記事では、物流センターや倉庫における効果的な電気代削減方法をご紹介します。
物流企業が取り組める電気代削減方法とは?
それでは、物流センターや倉庫の電気代削減の取り組みをいくつかご紹介します。近年では、環境問題対策の観点からも節電や省エネが企業に強く求められていることもあり、電気代削減を実現するようなさまざまな対策を既に実施済みという企業は多いと思います。
しかし、見落としている部分や不十分な部分が皆無だとは言えないと思いますので、ここでは物流センターや倉庫の電気代削減対策について、代表的な手法をいくつかご紹介します。
照明設備部分の電気代削減対策
物流センターや倉庫の電気代削減対策の定番が、照明をLED照明に交換するという方法です。倉庫などの大型施設では、水銀灯や蛍光灯が利用されているケースが多いため、短時間の点灯でも大きな消費電力がかかってしまいます。そのため、施設全体の照明をLEDに交換するだけで、大幅に消費電力を削減できます。具体的には、水銀灯をLEDに交換すれば約1/5程度に、蛍光灯の場合は約1/3程度まで消費電力が下がると言われています。
さらに、物流センターや倉庫は、天井が高いことから、LED照明に交換することで、修繕にかかる費用も削減できるという点が大きなメリットになります。水銀灯や蛍光灯の場合、交換する際も専門業者に依頼する必要があります。しかし、LED照明は、その他の照明器具と比較すると、長寿命ですので交換頻度が大幅に少なくなり、メンテナンス部分のコストも削減してくれます。
照明設備部分の電気代削減対策については、誰もが「LED照明への交換」をイメージし、これ一択だと考えてしまいます。しかし、照明部分の節電は、日々の行いを変えることで実現できる場合もあります。既に、LED照明を導入しているという企業は、以下のような点に注意してみましょう。
- 必要な時だけ点灯する、必要でない時は消灯する
意外と盲点になっているケースが多いです。例えば、倉庫などの大規模施設では、一つのスイッチで広範囲の照明が点灯するようになっていて、不必要な照明まで一斉に点灯するような仕様になっている場合があります。このような施設では、一つのスイッチで点灯する照明の範囲を細分化することで電気代削減が実現します。 - 消し忘れを無くす
これも当たり前の対策ですが、徹底できていない施設は多いです。例えば、24時間稼働の倉庫などでは、夜間作業のために屋外照明を点灯させますが、明るくなってからもしばらく点灯したままになっていることは多いのではないでしょうか?このほかにも、トイレや洗面所、休憩室などの共有スペースなどでも照明の消し忘れは少なくありません。この部分は屋外は「明るさセンサー」、屋内は「人感センサー」などを採用することで、人間が操作せずとも消し忘れを無くすという手法が確実です。
空調設備部分の電気代削減対策
二つ目の対策は、空調設備部分の節電などによって電気代の削減を目指すという方法です。物流センターや倉庫の電気代は、空調と照明が大部分を占めています。特に、倉庫は空間がかなり広いため、空調にかかる電気代は莫大なものになります。
空調設備部分の電気代削減では、家庭用エアコンと同じく、最新モデルの省エネ性の高い空調設備に交換するという方法が最も節電効果が高くなると考えられます。ただし、空調設備の入れ換えには、多大な費用がかかりますので、まずは運用方法を工夫することで電気代削減を目指すと良いでしょう。
空調の消費電力は、設定温度が大きく影響していますので、適切な温度管理を行う必要があります。例えば、冷凍冷蔵倉庫をはじめとした定温倉庫などであれば、実際の庫内の温度を常に計測、把握しているはずです。しかし、一般的な物流センターや倉庫では、空調設備の温度設定を行ったら、後は空調設備任せになって庫内の温度を把握していないケースが多く、空調の設定温度と倉庫内の実際の温度は必ずしも一致しているとは限りません。
空調部分の電気代削減を目指す場合、こういった運用方法をやめ、実際の温度をきちんと把握した上で、空調設備の運転や温度設定を行うことが基本となります。適切な空調の制御が行えれば、空調電気使用量が削減でき、電気代の削減が実現するでしょう。
この他にも、デマンド装置を設置することで、電気の使用量を抑制する方法なども有効です。デマンド装置とは、電気代を決める基準となるデマンド値を把握する装置で、あらかじめ設定した電気使用量を超えると警告を出してくれるため、過剰な電気使用を控えることができるようになります。電気使用量の見える化は、電気代削減には非常に効果的な方法となります。
太陽光発電の設置
これは、節電ではなく、自ら電気を作り出すことで電力会社からの買電量を削減し、電気代を安くするという方法です。
近年では、さまざまな再生可能エネルギーが注目されていますが、その中でも、その他の技術よりも一歩も二歩も前に出ているのが太陽光発電です。物流センターや倉庫などは、一般住宅とは比較にならないほど大きな施設になりますので、屋根に太陽光パネルを設置することで、多くの電力を発電することができ、それを自社で消費することで大幅な電気代削減を実現することができます。
太陽光発電の導入は、日々の電気代を大幅に削減できる一方、多額のイニシャルコストがかかることから、なかなか自社倉庫への導入ができない企業も少なくありません。しかし、2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーのさらなる普及を国や自治体が強く推進していることから、現在では再生可能エネルギー関係の導入には手厚い補助金などが用意されています。こういった補助制度を利用すれば、ネックとなっていた初期費用の問題を軽減することができます。
なお、倉庫などへの太陽光発電の導入は、電力の自家消費による電気代削減だけでなく、税制優遇制度を活用することで節税の効果まで発揮してくれます。この他にも、「環境問題に取り組む企業」などと、企業イメージのアップにもつながるなど、多種多様なメリットが得られます。
建物のリノベーション
建物のリノベーションと電気代削減は、何の関連性も感じないという方が多いかもしれません。しかし、外壁や屋根の塗装などを行うことで、該当部分の断熱性を向上させ、倉庫内の空調効率を高めることができます。
外壁や屋根の塗装工事は、雨漏り防止、美観の維持などを目的として行うのが一般的です。ただし、塗料の中には、遮熱や断熱効果をもたらすものがあり、そういった機能性塗料を採用することで、外壁や屋根の断熱性能や遮熱性能を高めることができます。外壁や屋根の断熱性能が高くなれば、倉庫内の温度が外気温の影響を受けにくくなるため、空調効率が改善され、空調にかかる電気代の削減につながります。
どのような建物でも、定期的な塗装メンテナンスが必要になりますので、その際に機能性塗料を採用することで、電気代削減も実現することができる非常に優れた手段と言えるでしょう。特別な設備投資なども必要ないため、効率重視で省エネに取り組みたいと考えている方にはオススメです。
まとめ
今回は、物流センターや倉庫の電気代削減方法について解説しました。大型施設の電気代削減については、LED照明の導入や高効率空調機の導入が主流となっています。実際に、これらの方法は大きな電気代削減効果が得られるのは間違いないと思います。しかし、照明や空調の運用方法という基本的な部分を見落としている企業が少なくないように思えますので、この記事でご紹介したようなポイントは今一度見直してみると良いでしょう。
物流センターや倉庫の電気代は、照明や空調が大部分を占めています。特に、空間が非常に大きい施設になりますので、空調にかかるコストをどれだけ削減できるのかが非常に大きなポイントになるでしょう。空調コストは、最新モデルの空調設備に入れ替えるといった方法もありますが、建物の断熱性を向上させるような改修工事を行うことで、空調効率を改善し電気代の削減が実現します。
物流施設での電気代削減対策は、この記事でご紹介したもの以外にもあるかと思いますが、まずは基本的な部分から着手してみるのが良いのではないでしょうか。
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