物流の基礎知識!EC業界で話題の『フルフィルメント』ってなんだ?
投稿日:2021.07.08
更新日:2021.07.27
お役立ち情報
近年では、EC業界を中心に『フルフィルメント』というものが注目されているのですが、これが何を意味する用語なのかみなさんはご存知でしょうか。
フルフィルメントを簡単に説明すると、ECサイトにおいて「受注から発送までの一連の業務」のことを指しています。ECサイトの運営業者からすると、顧客満足度に大きな影響を与える業務となりますので、どの企業でも効率化を目指すだけでなくより高品質なサービスになるよう努力していることでしょう。
そこでこの記事では、年々その注目度が高まっているフルフィルメントの基礎知識をご紹介していきたいと思います。
フルフィルメントの基礎知識
『フルフィルメント(Fulfillment)』という用語については、日本語に直訳すると『履行』や『遂行』という意味の言葉になります。ただし、これがオンラインショップなどの通販業界では、出荷に関する「配送業務全般」のことを指すビジネス用語として用いられています。
冒頭で少し触れたように、フルフィルメントは、ECサイトにおいて「顧客が商品を注文してから手元に届くまでに発生する一連の業務」全般のことを指しています。商品を購入する側はあまり意識しませんが、何らかの物をECサイトで購入し、それが手元に届くまでには「受注・問い合わせ・梱包・発送・配送・仕入れ・納品・検品・在庫管理・返品対応・クレーム対応・入金管理・代金回収・返金処理」など、さまざまな業務が発生しています。フルフィルメントは、顧客の手元に商品が届くまでに必要なこういったプロセスを指しているものです。
それではなぜフルフィルメントがEC業界で注目されているのでしょうか?これに関しては、近年、商品受注以降の業務に関して、保管場所から顧客の手元に商品を届けるまでの一連の業務をアウトソーシングする、フルフィルメントサービスが拡大していっているからです。有名なもので言えば、Amazonが提供している『FBA(Fulfillment By Amazon)』というフルフィルメントサービスがあり、これに加入するとAmazon.comの物流拠点に商品を預けることで、商品の保管から注文処理、配送を始めとして、返品などのカスタマーサービスまで代行してくれるようになっています。
上述したように、フルフィルメントは顧客満足度に大きな影響を与える部分ですし、これらの業務全般または一部を、そういった業務を得意とする業者にアウトソーシングすることで顧客の評価を高めようという考え方が一般的になっているのだと思います。
フルフィルメントの業務内容とは
前項でご紹介したように、フルフィルメントは、「顧客が商品を注文してから手元に届くまでに発生する一連の業務」全般を指しています。ここでは、いくつかの業務に分類してそれぞれの業務内容を簡単にご紹介しておきます。
入荷・検品業務
メーカーや卸業者などから物流倉庫へ入荷された商品の種類や数量に誤りがないかチェックする作業が入荷作業です。また、商品の状態をチェックするのに合わせて、バーコードによる検品システムを使用した誤出荷防止対策なども行います。
検品は、ピッキング工程が終わった商品に対して、注文内容とあっているのか、商品の状態に問題はないかをチェックする最終工程の作業です。
商品保管
改めて説明する必要はないかもしれませんが、これは倉庫内にて商品を保管・管理する業務です。顧客から注文が入るまでの間は、在庫として倉庫に置かれることになり、この管理については在庫管理などと呼ばれることもあります。
受注処理
顧客から商品の注文を受ける段階です。ECサイトの受注管理でも、電話やFAXでの受注やwebサイトのフォームを利用した受注などさまざまな形態があります。顧客からの注文内容や決済方法、在庫の有無の確認を行うのですが、近年では受注に関する一連の処理を在庫管理システムと連携させ、自動化しているケースが多いです。
なお、上記のような顧客からの注文の処理だけでなく、商品への問い合わせやクレーム対応、返品対応なども受注処理業務に含まれます。
ピッキング・流通加工
注文伝票をもとに、対象の商品を倉庫の中から探し出す業務がピッキングです。一般の方がイメージするピッキングであれば、倉庫作業員がかごなどを持って倉庫内を回り、伝票に記載された種類・数量の商品を集めていく作業をイメージすることでしょう。もちろん、こういった手法を採用している場合もあるのですが、近年では、人為的ミスの削減や作業効率化を目的に、ITツールなどを用いらデジタルピッキングと呼ばれる手法が多くなっています。
ピッキングされた商品の中には、流通加工をされる場合もあります。流通加工は、その名称通り流通途中で加工されることを指しています。例えば、商品を専用の箱に詰める、ラベル張りをするなどの作業を指しています。
梱包
梱包は、発送するために段ボールに詰める作業をイメージすることでしょう。ただし、そこまで単純なものではなく、配送時に商品が傷ついたりすることを防ぐため、緩衝材をうまく詰めるなどの工夫もします。また、顧客の元に届いた際、「開封しづらい…」と感じさせないような工夫もされています。梱包の丁寧さは、リピート率に大きな影響を与えると言われていますので、ダンボールの開封のしやすさ、商品の取り出しやすさなど、顧客の利便性を考慮した梱包が行われます。
発送
梱包された商品を配送業者に引き渡し、発送します。近年では、顧客の自宅に届けるだけでなく、コンビニなどで受け取れるようなサービスが登場しており、顧客が指定した場所に発送することになります。
なお、発送が完了したら、その旨を顧客に通知するのが一般的です。
まとめ
今回は、EC業界で注目されている『フルフィルメント』について、これがどういったものなのかをご紹介してきました。この記事でご紹介したように、フルフィルメントは、顧客の手元に商品を届けるまでの一連の業務の事を指しており、近年ではこの部分を代行しているフルフィルメントサービスが拡大していることで、その注目度が高くなっているわけです。
ECサイトを運営する企業からすれば、配送に関する業務も重要なのは間違いないものの、やはり売上に直結する商品企画や販売活動、マーケティングなどに「より注力したい!」と考えるはずです。フルフィルメントは比較的単純な作業ですし、これらの業務に労力を奪われるのは避けたいと考える企業は非常に多いはずです。
フルフィルメントサービスを利用すれば、これらの業務の一部または全部を代行によって大幅に効率化することができようになり、ECサイトの運営者は売上に直結するような戦略的業務に集中できるようになるという非常に大きなメリットが存在します。もちろん、外注コストがかかってしまうことですので、メリット面とデメリット面、両方を踏まえたうえで慎重に「自社で行うか?」「フルフィルメントサービスを利用するか?」考えなければならないでしょう。
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