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LEDの性能や寿命に関わる熱の対策方法と耐熱LEDを紹介

LEDの性能や寿命に関わる熱の対策方法と耐熱LEDを紹介

投稿日:2023.11.20 
更新日:2023.12.01 
お役立ち情報

近年、倉庫の経費削減対策を目的として、水銀灯や蛍光灯をLED照明に交換するケースが増えています。倉庫の特性上、広い空間に窓が少ない施設が多く、一般住宅と比較すると照明を点灯する時間が長くなります。そのうえ、天井が高い施設が多く、照明の交換は専門業者に依頼しなければならないケースも少なくありません。

LED照明はその他の照明機器と比較すると、本体価格は割高になるものの、消費電力量が少ないことから照明の点灯にかかる電気代を大幅に削減できる点や、寿命が長い点から、照明の交換頻度が少なくなることも経費削減に繋がると期待され、導入が進んでいます。

しかし、「半永久的に明るさを保つ」というイメージが持たれているLED照明ですが、実は「熱に弱い」という弱点を持っており、製品ごとに使用環境上限温度が設定されています。一般的に、設置環境の気温が40度または50度以上になる場所は、LED照明には適していないとされています。倉庫は、空間を広く使うため天井を設けていない施設が多く、屋根の高い部分に照明機器が取り付けられます。この場合、特に夏期の日中は、照明周辺の気温がかなり高温になってしまい、LED照明の早期故障を引き起こす可能性があります。

そこで当記事では、倉庫の経費削減に効果的と言われているLED照明について、長持ちさせるためにおさえておくべき熱への対策を解説します。

 

LEDの寿命の定義と劣化要因について

LEDは、寿命が非常に長い照明機器として有名です。実際に、半導体である「LED(発光ダイオード)」の素子そのものについては、半永久的に光るとされています。ただ、照明機器という製品として見た場合、その他の製品と同じく時間の経過とともに劣化していき、永遠に照明機器として使えるわけではありません。なお、LED照明は、白熱電球の「球切れ」のように、突然切れて点かなくなるのではなく、長く使っていくうちに発光部であるLEDチップや蛍光体などの材料が劣化して、次第に明るさが弱くなっていくといった劣化症状を見せます。

LED照明そのものに故障がない場合、明るさは次第に落ちていくものの、その他の照明機器よりも長く使うことができます。しかし、LED照明には、発光部のLED以外にもさまざまなパーツが使われていて、それらの構成材料の寿命により性能が低下していきます。ここでは、LED照明の寿命の定義と劣化が進む要因について簡単に解説します。

 

LEDの寿命の定義

LED照明の寿命については、一般社団法人日本照明器具工業会が2010年7月に公表した資料によると「初期の明るさから、70%に落ちるまで」を使用可能時間とすると規定されています。これは、「JIS C8105-3:2011」の 照明器具−第3部:性能要求事項通則にて以下のように規定されているからです。

 

LEDモジュールの寿命

照明器具製造業者が規定する条件で点灯したとき、LEDモジュールが点灯しなくなるまでの総点灯時間又は全光束が、点灯初期に測定した値の70 %に下がるまでの総点灯時間のいずれか短い時間。通常、点灯初期は、0時間点灯とする。
引用:JISC8105-3:2011より

最近では60,000時間のLED電球が登場していますが、(社)日本照明器具工業会などでは、LED照明の一般的な寿命を40,000時間と設定しており、これは1日に10時間程度使用したとしても約10年は明るさを保つ計算になります。

※光束維持率(最初の明るさに比べ、どれくらい明るさが維持されているかを示す割合)70%は、あくまでも白色LED照明器具に限った寿命目安です。照明用途以外に使用されるカラーLEDなどは、光束維持率50%など、異なる寿命が設定されています。

 
参照:器具の寿命について

 

LEDは「熱」によって早期故障が引き起こされる

それでは次に、LED照明の劣化要因について解説します。冒頭で紹介したように、LEDは白熱電球のいわゆる「球切れ」のように、ある日突然点かなくなるということは基本ありません。LEDが急につかなくなった場合は、「何らかの原因でLEDそのものが故障した」「断線など照明機器以外の故障でLEDへの電力供給が止まった」など、寿命ではなく故障が原因となります。

LED照明にもいくつかの弱点があり、それは「熱に弱い」「静電気に弱い」「湿気に弱い」という点です。とくに「熱」に関しては、LEDの故障や早期劣化の原因として最も可能性が高いと言われています。

一般的に、LEDは「熱くならない」というイメージが強いのですが、照明用のLED製品は、小さなLEDチップが大量に敷き詰められるという構造になっていて、これらを大出力で一斉に点灯させることから、内部の発光部や電源基板部では大きな熱が発生しています。照明内部で発生した熱は、外部へ効率よく伝道して放熱されるような設計がなされているのですが、LEDが設置されている周辺環境の温度が高い場合、放熱が上手くいかず熱がこもることで内部部品の故障を引き起こす可能性があるとされています。

LED製品の使用環境上限温度は、製品によって異なりますが、50℃程度が限度になっている場合が多く、これより高温になると寿命が極端に短くなり、故障する可能性が高くなります。

 

倉庫にLED照明を導入する際の熱対策について

「非常に寿命が長い」というイメージのLED照明も、設置環境の特性に合わせて適切な対策を行わなければ、本来の寿命よりも早く劣化や故障する可能性があります。

特に、倉庫は保管スペースを確保する目的などで天井が設けられていない施設が多いです。そのため、LED照明が取り付けられることになる、屋根付近は高温になりやすく、特に夏場の日中はLED製品の使用環境上限温度を超えてしまい、せっかく設置したLED照明が1年も持たずに点灯しなくなる…などと言った危険があります。

それでは、倉庫の経費削減などを考えて、LED照明の設置を検討した時、どのような熱対策を行えば良いのでしょうか?ここでは、LED製品の能力を十全に活かすための対策をいくつかご紹介します。

 

設置するLED製品をきちんと選ぶ

「LEDならどれも同じ」と考えてはいけません。当然ながら、LED製品にも品質の格差があり、使われているLEDチップや蛍光体、樹脂などの品質が高いものほど長持ちします。

さらに、設置環境が高温化しやすい倉庫などの場合、最新の放熱技術が取り入れられたLED製品や耐熱LEDなどを選ぶと良いでしょう。高品質、特殊な加工が施されている製品は、価格が割高になりますが、本来の寿命よりも早く故障することを考えると、長期的に見て断然安く収まるはずです。以下に、高温環境でも設置に耐えられる耐熱LED製品をいくつかご紹介します。
 
【ルミア】LED照明器具LUMITRON™

  • 【ルミア】LED照明器具LUMITRON™
  • 最大−60℃〜80℃の環境まで、幅広い温度環境に設置可能なLEDです。熱影響の大きい「電解コンデンサ」を使用しない独自開発の電源回路技術を使用しており、高温下に於いても100,000時間の定格寿命不使用で寿命を誇ります。
  • 【東芝】高温用LEDベースライト
    5℃〜60℃の環境まで、幅広い温度環境に設置可能なLEDです。厨房やボイラー室など、高温環境下でも光源寿命40,000時間(光束維持率90%)を確保した耐久性の高いLED製品です。
  • 【パナソニック】LED高天井用照明器具 高温環境向け
    60℃の高温から−20℃の低温環境まで幅広い温度環境に設置可能なLED製品です。高温の環境でも光源寿命60,000時間とLEDならではの寿命の長さも特徴です。

 

屋根の断熱対策

LED照明を長持ちさせる対策とは何の関係もなさそうに感じますが、実は、屋根部分の断熱対策は、LEDの熱対策としても有効に働きます。上述していますが、LED製品の寿命を縮める要因は「熱」にあります。LED製品自体も、長時間使用していると熱を発生させますが、うまく放熱する仕組みが採用されていることで、仕様通りの寿命を保つことができるわけです。しかし、LED製品が設置される場所周辺の気温が高くなると、放熱が上手くできなくなり、LED製品の寿命が短くなってしまいます。一般的なLED製品の場合、設置環境の気温が、40度または50度以上になるような場所は、設置には適さないとされています。

倉庫では、軽くて耐久性に優れ雨漏りがしにくいという特徴を持つ金属屋根が採用される場合が多いのですが、金属屋根は日射により屋根材が熱を持ち、倉庫内にその熱が侵入することで屋根周辺の気温が高くなってしまいます。真夏の日中などは、金属屋根の表面温度が80℃を超えるような場合もあると言われていて、断熱対策がきちんと施されていない倉庫の場合、LED照明の周辺温度が、使用環境上限温度を超えてしまう可能性があるわけです。

したがって、屋根部分の断熱対策を施し、屋根からの熱の侵入を防ぐことができれば、LED照明周辺の温度上昇を防ぐことができ、LEDの熱による早期故障を防止できるようになるという訳です。なお、屋根面への太陽光パネルの設置は、屋根に直射日光が当たらなくなるので、断熱対策としても効果的です。屋根の断熱と発電、さらにはLED照明の設置環境の調整など、さまざまなメリットが得られるオススメの方法と言えます。

天井断熱の際のポイントは弊社コーポレートサイトの工場・倉庫の天井断熱のポイントと素材を紹介で紹介しています。ぜひご確認ください。

 

できるだけ低い位置にLEDを設置する

LEDの設置に適さないほどの温度上昇は、屋根からの熱の伝導と室内の暖かい空気が上に集まることが原因です。したがって、屋根に近い場所ほど高温状態になります。

逆に言えば、可能な限り低い位置にLED照明を取り付けることができれば、LED製品の設置可能上限温度を超えてしまうのを回避できる場合があります。

 

まとめ

今回は、倉庫の経費削減対策として急速に導入が進んでいるLED照明について、意外に知られていないLED照明の早期劣化を引き起こす原因とその対策をご紹介しました。

記事内でご紹介しているように、長寿命が特徴と考えられているLEDにもいくつかの弱点が存在していて、特に「熱」による早期故障に注意しなければいけません。倉庫は、建築基準法による「採光」の規定がないことから、一般住宅などと比較すると窓が少ない構造となっているケースが多いです。そのため、倉庫内で作業する際には、昼間でも照明が必要になり、照明にかかる電気代が高くなる傾向にあることから、LED照明への交換が急速に進んでいます。

ただ、倉庫は保管のための広い空間を確保する目的で、天井などが設けられておらず、照明機器は屋根に近い高い部分に取り付けられるケースが多くなります。そして、この状況が、LED照明の設置可能上限温度を超えてしまう要因になり、経費削減を目的に導入したLED照明の早期故障で、余計にコストがかかってしまうという最悪な結果を招く恐れがあるわけです。

倉庫へのLED照明の導入を検討した時には、設置に適した環境になっているのかをきちんと確認し、必要であれば熱への対策を施しましょう。

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