異物混入を防ぐ!食品工場・飲食店でのチェックポイント
投稿日:2020.06.29
更新日:2021.07.28
お役立ち情報
今回は、食品工場や飲食店などが注意しておきたい身近にある『異物混入ポイント』についてご紹介します。
食品を取り扱う施設であれば、『異物混入』は絶対にあってはならないものですので、非常に厳しい品質管理・衛生管理体制が整えられています。しかし、さまざまな技術が進歩した21世紀の現在でも食品への異物混入事故を完全になくすことができていないのが実情です。実際に、2019年6月には、大手食品会社が製造する冷凍食品に複数のプラスチック片が混入していたことが確認され、商品の出荷エリア全体で回収騒ぎになったのは記憶に新しいことだと思います。
それでは、製品の品質管理や衛生管理に潤沢な予算が使えそうな大企業であっても、異物混入事故を無くせないのはなぜなのでしょうか?当然、食品を取り扱う施設ですので、使用する機械・設備の選定や普段の清掃などに細心の注意を払っているのは間違いないことだと考えらます。
そこで今回は、意外と見落とされがちな食品への異物混入事故の原因についてご紹介します。
Contents
異物混入事故の現状
それではまず、異物混入事故の現状を簡単にご紹介しておきましょう。参考として東京都福祉保健局が公表している平成29年度に東京都内であった食品関連の苦情件数をご紹介します。平成29年度には、5164件もの食品関連の苦情があったとされていますが、そのうちの918件が異物混入に関するものだったそうです。1年間で1000件近くもの異物混入に関する苦情があったという事実は少し驚きですね。
どのような異物が食品に混入していたのかについては、虫類が266件と最も多く、毛髪などの動物性異物が127件、金属やガラス・砂などの鉱物性異物は117件、ビニール片やゴム片などの合成樹脂類が116件と続きます。この異物混入事故のデータを確認してみると、食品への異物混入は、ビニールや金属片など人間から混入したものではない場合が非常に多い事がわかります。
特に、砂や金属、プラスチック片などの硬いものが食品に混入してしまった場合、それを口にしたことで歯が欠けてしまったり、食道を傷つけてしまうなどの危険性もあります。それでは、こういった鉱物性異物や合成樹脂類というものはどこから混入してしまうのでしょうか?実はこれらの異物は、製品を製造するために使用する計量器具や包丁などの調理器具といった、食品を取り扱う施設では非常に身近な道具が原因となってしまうことも多いと言われているのです。
参考:東京都の食品安全情報サイト
参考:食品安全アーカイブズ
意外と身近にある異物混入ポイント
それでは食品工場や飲食店などが注意しておきたい身近な異物混入ポイントをいくつかご紹介しておきましょう。
プラスチック製の計量カップ
一般家庭などであれば、プラスチックやガラスで作られた計量カップが一般的ですが、このタイプの計量器は、熱いものを入れた時や落とした時にひび割れが入ってしまい、それに気づかずに使用することでプラスチック片の混入原因となってしまう場合があるのです。
したがって、食品工場や飲食店などで使用する計量カップを選択する場合は、耐熱性が高く簡単に欠けたり割れたり、破片が生じないステンレス製のものがオススメです。ステンレス製の計量カップは、透明でないため計量がしにくいと思われがちですが、内側の目盛に慣れれば、そこまで使いにくさはないと思います。何より、高耐久で割れたりすることもないため、異物混入の心配がないのが食品関連施設にはメリットになります。
包丁にも注意が必要
食材を切るために使用する包丁にも注意が必要です。ご家庭の包丁も同じですが、刃こぼれが原因となって異物混入が発生してしまうのです。
包丁は、塩素系の洗剤や漂白剤を利用して洗浄することが刃こぼれの原因となります。包丁の殺菌などを塩素系の漂白剤で行うと、包丁の刃に小さな穴が開いてしまい使用中に刃こぼれなどをおこし、異物混入事故の原因となることがあるのです。また、出刃包丁など、サビやすい包丁に関しては、塩分が強いもの、酸性のものを切った時にはすぐに洗って水を拭き取ることを徹底しましょう。なお、食品工場などで使用する包丁に関しては、原則として取手が木製でないものを使用しましょう。木製の取っ手の場合、経年劣化で木片が出てしまう可能性があります。
食品工場や飲食店などの異物混入を防ぐためには、取手と刃が一体となったステンレス製の包丁がオススメです。このタイプであれば、包丁の差し込み部分などもなくなりますので、非常に衛生的に使用することができます。
まな板の注意点
木製のまな板というのは、吸水性があるため、雑菌などが繁殖しやすくなります。さらに、使用することで傷が入りやすく、食材に木片が付着してしまうリスクが高くなるため、使用はオススメできません。
異物混入を防ぐためには、水分を吸収しにくく、雑菌が繁殖しにくいプラスチック製のものが一般的です。最近では抗菌作用のあるプラスチック製まな板も登場していますので、そういったタイプを選ぶのが良いでしょう。また、色がついているまな板を選択しておけば、「肉を切る時は青いまな板」「野菜は赤色のまな板」など、使分けることができるようになり、食品の交差汚染を防ぐことにも役立ちます。
その他の道具について
食品を取り扱う施設ではその他にもたくさんの道具が使用されています。例えば、ざるに関しては、プラスチック製のものを使用すると欠けることで異物混入の危険がありますし、網ざるの場合は網と網の継ぎ目に食品カスが詰まりやすくなり、不衛生になってしまう可能性もあります。したがって、網目がパンチ穴になっているステンレス製のざるを使用するなどの工夫が必要です。
他には、使用した調理器具などを洗浄する『たわし』にも注意する必要があるでしょう。通常のたわしは毛が抜け落ちることで異物混入の原因となります。また、頑固な汚れを落とす目的で使用される金属製のたわしは、非常に細かい金属片が出てしまう可能性がありますので、細心の注意を払う必要があるでしょう。
施設内で使用する調理器具は、簡単にそのもの自体を入れ替えることもできますが、使用している設備によっては備品であることから、やむを得ず使用しなければならない…といったケースも少なくありません。そういった場合には、毎日作業開始前に行う点検項目に入れて、交換時期を逃さないようにするなどの対策を行うと良いでしょう。
毎日点検を行うことで、いつ割れや欠けが発生したのかもわかりますし、製品の出荷前に異物混入に気付くことができるようになるはずです。
道具以外の異物混入
使用する道具以外からも、異物混入のリスクがあります。
食材からの異物混入
仕入れを行った食材に異物が混入している可能性もあります。
食材からの異物混入を防ぐためには、信頼できる仕入れ先を見つけることも重要なポイントになります。
また、自分達でも検品の際に目視で異物の混入がないか、外装に破損がないかしっかり確認することが大事です。
従業員からの異物混入
毛髪や身に着けている装飾品などが混入するケースもあります。
一人ひとりが身だしなみをきちんと整え、清潔なユニフォームを着用するようにしましょう。当然ですが、アクセサリー、時計などの装飾品の持ち込みは厳禁です。
虫や埃などの異物混入
まずは、窓やドアを開けっ放しにしないことが
大事です。また段ボールは虫が付きやすいため調理場へは持ち込まないことをお勧めします。
生ごみ、食品ゴミはすぐにコミ箱へ捨て、こまめに所定にコミ捨て場に移しましょう。
まとめ
今回は、食品工場や飲食店などにおいて、意外と身近にある異物混入ポイントをご紹介してきました。食品を取り扱う施設であれば、「絶対に異物混入事件を起こしてはいけない」という考えのもと、普段から非常に厳しい衛生管理や品質管理体制を整えていることだと思います。
食品工場などであれば、施設の建設時点で「清掃がしやすい工場」をコンセプトとして建設を進めたり、虫が発生しないようにゴミ集積場に工夫を凝らすなど異物混入を防ぐためのさまざまな対策を行っていると思います。しかし、意外と見落とされがちなのが、実際の調理に使用する細かな器具たちなのです。この記事でご紹介した以外にも、毎日使用する調理器具が異物混入の原因となってしまう危険もあるかと思いますので、今一度施設内で使用する調理器具の安全性を確認してみてはいかがでしょうか?
三和建設の食品工場トータルソリューションブランドFACTAS®では、食品工場や衛生管理に関する様々な情報を発信しています。ぜひそちらもご覧ください。
関連記事
ARCHIVE
TAG
- #建設準備
- #グラフ
- #建築費
- #ドライバー不足
- #立地
- #2024年問題
- #3PL
- #3温度帯
- #4温度帯
- #AGV
- #AI
- #AVG
- #CAS冷凍
- #EC
- #FSSC22000
- #GDPガイドライン
- #IoT
- #IT
- #LED
- #RiSOKOセミナー
- #Society 5.0
- #Third Party Logistics
- #エアコン
- #カーボンニュートラル
- #ガソリン
- #グッズ
- #コールドチェーン
- #コロナ
- #コロナ禍
- #システム建築
- #タグを削除: RiSOKOセミナー RiSOKOセミナー
- #デバンニング
- #トラック待機時間
- #バンニング
- #ひさし
- #ピッキング
- #フォークリフト
- #プラスチック削減
- #フルフィルメント
- #プロトン凍結
- #フロン排出抑制法
- #フロン管理義務
- #マテハン
- #マテハン機器
- #メディカル物流
- #ラック
- #リチウムイオン蓄電池
- #ロボット
- #ロボット化
- #中小企業支援策
- #事故事例
- #人手不足
- #人材不足
- #低温倉庫
- #低温物流
- #保安距離
- #保有空地
- #保管効率
- #保管場所
- #保管温度帯
- #倉庫
- #倉庫の強度
- #倉庫の種類
- #倉庫建設
- #倉庫建設コンサルタント
- #倉庫新築
- #倉庫業法
- #倉庫火災
- #免震
- #共同物流
- #冷凍倉庫
- #冷凍自動倉庫
- #冷凍食品
- #冷蔵倉庫
- #冷蔵庫
- #削減
- #労働時間
- #労働災害
- #医療機器
- #医療物流
- #医薬品
- #医薬品の物流業務
- #医薬品保管
- #医薬品倉庫
- #危険物
- #危険物倉庫
- #危険物施設
- #営業倉庫
- #国際規格
- #土地
- #地震
- #地震対策
- #基礎知識
- #安全
- #安全対策
- #定期点検
- #定義
- #対策
- #屋内タンク貯蔵所
- #屋内貯蔵所
- #工場
- #工場の衛生管理
- #建築基準法施行令
- #建設計画
- #従業員
- #感染予防
- #技術
- #換気設備
- #改修工事
- #政令
- #新型コロナウイルス
- #新築
- #施設設備基準
- #機能倉庫建設
- #水害
- #水害対策
- #治験薬
- #法律
- #消防法
- #消防設備
- #温度管理
- #火災
- #火災対策
- #災害
- #無人搬送ロボット
- #無人搬送車
- #無人配送車
- #燃料費
- #物流
- #物流DX
- #物流センター
- #物流倉庫
- #物流倉庫新設
- #物流倉庫自動化
- #物流拠点
- #物流業界
- #物流総合効率化法
- #物流課題
- #特殊倉庫
- #用途地域
- #異物混入
- #着工床面積
- #空調
- #結露
- #耐震工事
- #職場認証制度
- #自動倉庫
- #自動化
- #自動車運送事業者
- #衛生管理
- #補助金
- #規制緩和
- #調理器具
- #貸倉庫
- #軽油
- #適正流通ガイドライン
- #関西物流展
- #防災
- #防災用品
- #防爆構造
- #集中豪雨
- #電気代
- #電気代削減方法
- #静電気
- #静電気対策
- #非危険物
- #非接触
- #食品倉庫
- #食品物流
- #食品衛生法
もっと見る▼