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物流業界の人手不足の改善策!物流総合効率化法とは?

物流業界の人手不足の改善策!物流総合効率化法とは?

投稿日:2021.06.12 
更新日:2021.07.06 
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現在日本では、さまざまな業界が人手不足に悩んでいると言われています。そして、人手不足が特に顕著なのが物流業界で、EC市場が年々拡大し宅配需要が急増している裏では、深刻なトラックドライバー不足が発生していると言われています。実際に、帝国データバンクが公表した「人手不足倒産」の動向調査によると、調査開始以降7年間の累計件数では、「道路貨物運送」の倒産件数が圧倒的に多く、この業界では「ドライバー不足による受注難から収益悪化を招き、倒産に至る」というケースが目立っているようです。

このような状況もあり、平成28年10月に「物流総合効率化法」という法律が、一部改正されたのは皆さんもご存知だと思います。物流総合効率化法は、人手不足や労働者の高齢化、EC市場の拡大による小口配送の急増などにより、流通業務に必要な労働力確保が難しくなっている中でも物流業界全体に求められている生産性の向上と効率化を目指していくための対応策とされています。
それでは、>この物流総合効率化法とは、どういった法律で、またどのようにして物流の効率化の実現や人手不足の解消を行っていくのでしょうか?この記事では、その辺りの概要を簡単にご紹介します。

データ参照:人手不足倒産/道路貨物運送が全業種で累計トップ

物流総合効率化法とは

それではまず、『物流総合効率化法』がどういった目的で作られ、どのような内容の法律なのかをご紹介します。この法律の正式名称は、「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律」となっており、非常に長い名称ですので普段は『物効法』という略称が使われることが多いです。

物流総合効率化法の概要

物流総合効率化法は、平成17年10月に施行され、一定の防災対策を施したうえ、国際競争力の強化や環境負荷の低減、地域雇用の創出などを行う事業について、これを物流効率化事業と認定し、物流拠点の総合化や流通業務の効率化に寄与してきたとされています。

そして、同法の施行から10年が経過し、以下のような理由から平成28年10月1日より改正物効法が施行されています。

昨今、物流分野においては労働力の中高年層への依存度が高まり、今後、深刻な人手不足に陥るおそれがあります。また、国際競争の激化や、ネット通販等の電子商取引の拡大等に伴って、荷主や消費者のニーズが更に高度化、多様化してきています。
これらの事情を踏まえつつ、我が国産業の持続的成長と豊かな国民生活を支えていく上では、物流が、これからも、多様な関係者の連携を進めること等により、生産性を向上し、物流ネットワーク全体の省力化・効率化を更に進めていく枠組みが必要です。
これらの課題に対応するため、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律及び関係政省令が10月1日に施行されます。
引用:国土交通省サイトより

なお、国土交通省が公表している『総合効率化認定申請の手引き』では、以下のように法律の概要が説明されています。

「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(以下、物流総合効率化法)は、流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、輸送網の集約、モーダルシフト、輸配送の共同化等の輸送の合理化により流通業務を効率化し、物資の流通に伴う環境負荷の低減及び流通業務の省力化を図る事業に対して、その計画の認定、関連支援措置等を定めた法律です。 引用:総合効率化認定申請の手引き P.1

このように、物流総合効率化法は、物流業者同士が協力・連携し、流通の効率化や省力化に取り組む際には、一定の条件を満たしていればさまざまな支援が受けられるという制度となっています。支援内容の一部を以下でご紹介します。

  • 事業の立ち上げ・実施の促進 ・計画策定経費・運行経費の補助
    ・事業開始に当たっての、倉庫業、貨物自動車運送事業等の許可等のみなし
  • 必要な施設・設備等への支援 ・輸送連携型倉庫への税制特例
    ・旅客鉄道を活用した貨物輸送への税制特例(貨物用車両・搬送装置)
    ・施設の立地規制に関する配慮
  • 金融支援 ・信用保険制度の限度額の拡充
    ・長期低利子貸付制度
    ・長期無利子貸付制度

 

その他にもさまざまな支援が受けられますので、支援策の詳細は「総合効率化認定申請の手引き P.6」をご参照ください。 なお、上記のような支援を受けるためには、法で定められた条件に適合して、総合効率化計画の認定を受ける必要があります。

総合効率化計画の認定を受けるには?

それでは、物流走行効率化法で定められた支援対象になるための条件についてもまとめておきましょう。こちらに関しても、その詳細は「総合効率化認定申請の手引き」で説明されています。

  • 基本方針に照らして適切なものであること 「2以上の者(法人格が別の者(資本関係の有無は問わない))の連携による取組か」「輸送・保管・荷さばき・流通加工を一体的に実施するものか」など
  • 流通業務総合効率化事業を確実に遂行できるものであること 「所要資金の調達に十分な見通しがついているか」「施設整備に係る関連法令の許可等の見通しがついているか」など
  • 各事業法が定める欠格事由に該当せず、また、許可・登録基準等に適合すること 貨物利用運送事業法、貨物自動車運送事業法、倉庫業法等の各事業法にそれぞれ定められている許可等の基準に適合するか
  • 特定流通業務施設を整備する場合、主務省令で定める基準に適合すること
    営業倉庫などの特定流通業務施設を整備する場合、立地・規模・構造・設備などの各要件を満たす必要があります。

物流総合効率化法の支援対象となる事業例について

それでは、物流総合効率化法において、その支援制度の対象となる事業についても、いくつかご紹介します。支援制度の対象となる効率化策としては、「輸送網の集約」「輸配送の共同化」「モーダルシフト」などが考えられるのですが、特にモーダルシフトに関する認定例が多いと言われています。
ここでは「総合効率化認定申請の手引き」で紹介されている、いくつかの事業イメージをご紹介します。

①モーダルシフト、幹線輸送の共同化

引用:総合効率化認定申請の手引き P.3
これは、長距離トラックによる輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトに関する事例です。長距離トラック輸送から鉄道による輸送への転換、幹線輸送の共同化により、大幅なCO2の削減を実現するとともに、従業員の労働環境の改善、ドライバー不足解消などにも貢献しているという効果が出ています。

②特定流通業務施設の整備を通じた輸送網の集約

引用:総合効率化認定申請の手引き P.2
複数拠点を一つの物流拠点に集約。輸送網を集約することで効率的な輸送体制が構築でき、トラックの走行量を削減することによる省力化・CO2排出量の削減などが実現した事例です。従来の輸送方法では、入出庫の順番待ちなど、非効率な部分が多かったのですが、新設した拠点にはトラック予約受付システムを導入し、トラックの無駄な待ち時間を削減するなど、業務効率化も実現しています。

まとめ

今回は、物流業界の人手不足改善策である『物流総合効率化法』の基礎知識をご紹介してきました。この制度は、「二以上の者が連携して、流通業務の総合化(輸送、保管、荷さばき及び流通加工を一体的に行うこと。)及び効率化(輸送の合理化)を図る事業であって、環境負荷の低減及び省力化に資するもの(流通業務総合効率化事業)を認定し、認定された事業に対して支援を行う。」ものとされています。

そして、用意されている支援策は、非常に手厚いものとなっています。これからさらに人手不足が深刻化すると言われている物流業界ですから、国が推奨している改善策などに関しては、意識して取り組む必要があるかもしれません。

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