メディカル物流とは?医療物流の注意点

メディカル物流とは?医療物流の注意点

投稿日:2023.05.19  お役立ち情報

人々の健康を守る医療はますます発展し続けており、医薬品や医療機器は患者の症状などに合わせてさまざまな種類が使い分けられるようになっています。そして、日々進化を続けている医療現場を陰から支えている存在が、医療現場に適切な品質で必要な医療品を届けるメディカル物流(医療物流)の存在です。

メディカル物流は、取り扱う製品の特性上、その他の物流現場にはないさまざまな注意点が存在します。そこで当記事では、メディカル物流の特徴や、実際に行う上での注意点について解説します。

 

メディカル物流とは?

メディカルは、日本語にすると「医療の、治療の、医療用の、治療用の」といった意味になるのですが、メディカル物流とは、医薬品や医療機器など、医療・治療用の物品を取り扱う物流業務のことを指します。

医療技術は、現在でも発展を続けており、世界中で多種多様な医薬品・医療機器の開発が行われています。記憶に新しい事例をあげると、世界中で新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した際には、ワクチンや治療薬の開発が驚くようなスピードで進んだのは皆さんも記憶していることでしょう。
人々が、健康な生活を維持していくためには、医療の存在が欠かせないのですが、それと同じく医療現場は医薬品や医療機器の存在無くして成り立たない時代になっています。

メディカル物流は、医療現場に欠かすことができない医薬品・医療機器について、適切な品質を維持したまま、必要な場所に必要な物量を届けるという役割を担っています。普段何気なく口にする医薬品ですが、その品質を維持するための適切な温度・湿度管理が求められており、中には少しの環境変化によって本来の効能が失われてしまうものも存在します。

また、医療機器の中には、少しの振動・衝撃で不具合を引き起こすような精密機器が多いため、目的地に輸配送する際には、さまざまな面に注意を払う必要があります。

もちろん、同じメディカル物流でも、医薬品の物流と、医療機器の物流では注意すべきポイントが変わります。医薬品物流に関しては、以前別の記事でご紹介していますので、今回は、メディカル物流の中でも、医療機器物流について、以下でその注意点などを解説します。

関連記事:医薬品物流の特徴と医薬品・医療機器・治験薬を保管する際のポイント

メディカル物流、医療機器の物流に関する注意点

医療機器は、医薬品医療機器法の中で、以下のように定義されています。

人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
引用:e-Gov|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

具体的には、医療目的で使用される「機器、器具、装置、材料、薬剤、ソフトウェア」全般が医療機器と呼ばれています。これらの機器は、疾患の予防、診断、治療、回復、緩和、障害の補助などの医療行為を行う際に使用されます。

メディカル物流は、医療目的で使用される多種多様な物品を取り扱うことになるため、高度な品質管理が求められる他、取り扱いのためにさまざまな法律が関係してきます。

医療機器の物流に関係する法律

「医療器機の物流」というと、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)への対策が必要という理解をしている方が多いと思います。しかし、医療機器には、多種多様な物品が存在していて、取り扱う製品によっては、薬機法以外にも関係してくる法律があります。例えば、人工関節を固定するために使用される骨セメントを取り扱う際には、「骨セメントは、消防法で規制される危険品に該当する」という点が見落とされがちです。

なお、従来の倉庫業法では、消防法で危険品に分類される物品の保管は、危険品倉庫(危険物倉庫)での保管が義務付けられていました。ただ、平成30年6月29日から、以下の取り扱いが可能になっています。

施設設備基準の一部見直し
野積倉庫及び水面倉庫において、防犯上照明装置の設置を義務付けているところ、その代替措置として警備業法に基づく警備業務用機械装置の設置等の同等の措置を認めることとします(※1)。
また、これまで危険品倉庫での保管を義務付けていた、消防法上許可を必要としない(※2)指定数量未満の危険物や高圧ガス保安法の適用除外の対象とされていた物品について、一類倉庫等での保管を可能とする改正を行います。
※1 他法令により、引き続き照明装置の設置が義務づけられる場合があります。
※2 自治体で定める条例等により届出が必要となる場合があります
引用:国土交通省公式サイトより

医療機器などの輸配送を担うメディカル物流は、以下の法律の規制を受ける可能性があるため、各種法律との関係に注意する必要があります。

関連:医薬品倉庫と医薬品の物流業務に必要な許可を解説

 

メディカル物流を取り巻く法規制について

  • 医療機器全般・・・薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)
  • 医薬品、消毒剤など・・・毒物劇物取締法、消防法
  • 骨セメントなど・・・消防法

メディカル物流における製品取り扱い上の注意点

医療機器物流では、薬機法規制により「医療機器製造販売業」の許可を取得しなければならない、一般商品と異なり、ロット番号やシリアル番号、有効期限などについて厳格な管理が求められる、さらに医療機器の中には、温度管理が必要な製品が存在するなど、さまざまなポイントに注意しなければいけません。

そして、実際の輸配送の際にも、以下のポイントに注意する必要があります。

  • 梱包について
    医療機器は、非常にデリケートな製品が多く、輸配送時の衝撃や振動から保護する必要があります。通常のトラックで輸送した場合、走行時の振動が原因となり、機器が故障したり、不具合が生じたりする危険があります。そのため、輸送中の衝撃・振動から機器を守るため、梱包材の選択に十分注意する必要があります。医療機器を構成する部品の形状に合わせ、保護フィルム、段ボール、クッション材など、製品を保護できる体制を作る必要があります。また、走行時の振動が可能な限り少ない車両を用いることも重要です。
  • 温度管理
    保管だけでなく輸送中の温度管理が重要です。取扱製品によって適切な温度帯が異なるため、必要であれば冷蔵装置や冷凍装置を備えた車両を用意する必要があります。
  • 正確な在庫管理とトレーサビリティ管理
  • 医療機器の安全性やリスク管理のために、トレーサビリティ管理が義務付けられています。

まとめ

今回は、日々進化する医療現場を支えているメディカル物流について、医療機器の物流を参考に、いくつかの注意点をご紹介しました。

医薬品や医療機器など、医療現場で使用される物品の輸送がメディカル物流と呼ばれ、人の命に直接関係する製品の輸送を行います。よって厳しい規制を受ける場面があります。この記事でご紹介したように、取り扱う製品によっては、薬機法だけでなく消防法や毒物劇物取締法など幅広い法律の知識が必要です。

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